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ローコスト住宅の寿命は20年以上?耐震・耐久性についても解説

ローコスト住宅は手頃な価格で建てられるのが魅力です。しかし、低価格であるため「寿命が短いのでは」と心配される方も多いでしょう。この記事では、ローコスト住宅の寿命や耐久性などを解説します。
寿命を延ばすための具体的な方法も解説するので、ローコスト住宅を建てることを検討されている方は、この記事をぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそもローコスト住宅の定義とは

ローコスト住宅とは、低価格で販売されている住宅を指します。明確な定義はなく、目安として坪単価が30~50万円程度、トータルの建築費が1,000万円台であればローコスト住宅とされます。 一般的な注文住宅の坪単価は90~100万円程度なので、ローコスト住宅の安さがわかるでしょう。1,000万円以下で販売されている場合もあり、比較的安い価格で購入できるのがローコスト住宅の魅力です。 ローコスト住宅はハウスメーカーが手掛けることが多く、主力商品にしているローコストメーカーも存在します。地域密着型の工務店もローコスト住宅を扱っている場合があり、自由設計でローコスト住宅を建築できる設計事務所もあります。
ローコスト住宅が安い理由

ローコスト住宅が安い理由は、建築費用を構成する材料費・人件費・諸経費を低く抑えているためです。ローコスト住宅を手掛けるローコストメーカーは徹底した合理化でコストカットを行っており、粗利率を確保して低価格を実現しています。 材料費を抑えるために、設備のグレードを下げたり、室内の壁を少なくしたりして、コストダウンを図っています。また、材料を全国規模で大量一括仕入れをすることで、コストダウンを図っているハウスメーカーも多いです。 人件費の削減は、手間のかかる工事を減らして工期を短縮することで実現しています。諸経費の削減は、広告宣伝費を低く抑えるためにインターネットで宣伝するなどして、コストダウンに取り組んでいます。
ローコスト住宅のメリット・デメリット

ローコスト住宅は、トータルの建築費が1,000万円台の低価格の住宅です。徹底した合理化などの企業努力でコストダウンを図り、低価格を実現しています。ここでは、ローコスト住宅のメリットとデメリットを整理して解説します。
ローコスト住宅のメリット
ローコスト住宅のメリットは、トータルコストを低く抑えられることです。例えば、30坪の住宅を建てる場合、坪単価90万円の注文住宅だと2,700万円ですが、坪単価40万円のローコスト住宅だと半値以下の1,200万円で建てられます。 トータルコストを低く抑えられるため、住宅ローンを組みやすく毎月の返済も楽です。住宅ローンの返済が楽になると、余裕のある生活が送れるでしょう。 また、ローコスト住宅は工期が短く、新居に早く住めることもメリットです。一般的な注文住宅の工期は2~6ヵ月ですが、ローコスト住宅だと2~3ヵ月で完成して新居で暮らせます。仮住まいの期間も短くなり、その間の家賃の負担を軽減できます。
ローコスト住宅のデメリット
ローコスト住宅のデメリットは、設備や間取りの自由度が低いことです。ローコスト住宅はコストダウンを図るために、設備や設計プランなどはすべて規格化されています。規格住宅であるため、フルオーダー住宅やセミオーダー住宅のような設計の自由度は基本的にはありません。 標準仕様にない設備はオプションで追加できますが、オプションを追加しすぎると割高になるため注意が必要です。例えば、標準仕様にはないオール電化への対応や太陽光発電システムなどを追加すると割高になってしまいます。 ローコスト住宅の坪単価は30~50万円ですが、これは標準仕様の価格です。オプションを追加しすぎると坪単価が60万円以上になることもあります。
ローコスト住宅の寿命

ローコスト住宅は低価格である点が魅力ですが、その価格がゆえに寿命が気になる方もいるのではないでしょうか。結論からいうと、ローコスト住宅は低価格ですが、寿命が短いわけではありません。ここでは、建てる際に気になるローコスト住宅の寿命について解説します。
国土交通省のデータによる日本の住宅の平均寿命
国土交通省のデータによると、日本の住宅の平均寿命(滅失住宅の平均築後経過年数)は約30年です。イギリスは約77年、アメリカは約55年であり、諸外国と比べると短いことがわかります。 出典:国土交通省「長持ち住宅の手引き」 日本の住宅の平均寿命が短い理由は、まだ住めるのに解体する中古住宅が多いためです。日本人は新築志向が強く、新築住宅を好む傾向があります。内閣府が実施した世論調査によると、住宅を購入するとしたら新築がよいと回答した人は73%に達します。 出典:内閣府「住生活に関する世論調査(平成27年11月)」 中古よりも新築を好む国民性が、日本の住宅の平均寿命を短くしている原因です。木造住宅でもきちんとメンテナンスをすれば築80年でも住める場合があり、住宅そのものの寿命が短いわけではありません。 出典:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
住宅の耐久年数の目安
国税庁が定める法定耐用年数は、木造は22年、鉄骨造は19~34年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は47年です。 出典:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」 法定耐用年数は資産価値が0円になる期間であり、法定耐用年数を超えると住めなくなるわけではありません。 法定耐用年数と実際の耐久年数は異なります。実際に住まいとして使える住宅の寿命(期待耐用年数)は、木造は30~80年、鉄骨造は30~60年、鉄筋コンクリート造は40~90年です。 出典:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」 木造住宅の実際の寿命は30~80年であり、長く住めることがわかります。ただし、使用する建材や工法、職人の施工技術によって寿命は異なり、メンテナンスやリフォーム・リノベーションを行うことで寿命を延ばせます。
ローコスト住宅は20年後も住める耐久性がある
ローコスト住宅は20年後も住める耐久性があります。ローコスト住宅であっても、法定耐用年数や期待耐用年数は一般的な住宅と同じです。木造住宅の場合だと、法定耐用年数は22年、期待耐用年数は30~80年であり、適切なメンテナンスを行えば長持ちします。 ローコスト住宅の寿命を左右する要因はさまざまですが、職人の施工技術が寿命に大きく影響します。信頼できるハウスメーカーや工務店であれば、寿命を気にする必要はありません。 国土交通省が定める長期優良住宅の基準を満たしているローコスト住宅もあり、最長60年間の保証を採用しているハウスメーカーも存在します。ローコスト住宅を建てる際は、信頼できるハウスメーカーや工務店を選ぶことが大切です。
ローコスト住宅は寿命が短いと誤解されている理由
ローコスト住宅の寿命は一般的な住宅と同じですが、短寿命と誤解されることがあります。これは、あるハウスメーカーの不祥事で数多くの欠陥住宅が出回り、ローコスト住宅の評判が悪くなったためです。 あるハウスメーカーの不祥事が原因でイメージが悪くなったわけですが、ここまで説明してきたように、ローコスト住宅だからといって短寿命ではありません。フラット35Sや長期優良住宅の基準を満たしているローコスト住宅は存在し、近年は長期保証やシロアリ保証などをつけるハウスメーカーが増えています。 建材の品質も向上しており、ハウスメーカーは耐久性の高い住宅の開発に取り組んでいます。信頼できるハウスメーカーや工務店に施工を依頼すれば問題ありません。
ローコスト住宅の寿命を左右する要因

ローコスト住宅に限らず、住宅の寿命は建材の質や設計プラン、職人の施工技術などで決まります。ここでは、ローコスト住宅の寿命を左右する要因を解説します。ローコスト住宅を建てる際は、以下の点に留意してください。
設計プラン
ローコスト住宅は、耐久性に優れた設計であれば長寿命になります。住宅の形状や間取りの設計が複雑だと耐震性やメンテナンス性に問題が生じることがあります。デザインにこだわりすぎると寿命に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 ローコスト住宅はコストダウンを図るためにシンプルな設計にすることが多く、高価格帯の住宅よりも耐久性に優れていることがあります。設計プランはシンプルであるほど寿命を延ばせます。
建材の品質
建材の品質は住宅の寿命を左右する大きな要因です。主要構造部の建材は耐久性のある建材を使用しましょう。ローコストメーカーは国産の外壁や断熱材を使用することが多く、信頼できるハウスメーカーであれば耐久性に問題はありません。 ローコスト住宅でも長期優良住宅の基準を満たしていれば、3世代まで良好な状態で継続使用できることが証明されており、適切なメンテナンスを行うことで寿命を延ばせます。
施工技術
ローコスト住宅の品質や性能は、職人の施工技術に左右されます。職人の技術力が低かったり手抜き工事をされたりすると住宅の寿命は短くなります。特に窓まわりの施工不良は雨漏りの原因になり、寿命が短くなる可能性が高いです。 ローコスト住宅は建材を一括仕入れするなどしてコストダウンを図りますが、技術力を落としてまでコストダウンを図ることは一般的にはありえません。寿命を延ばすには、技術力に定評があり、信頼できるハウスメーカーや工務店に依頼することです。
メンテナンス
日々の掃除や定期点検、メンテナンスは住宅の寿命を左右します。掃除をする際は外回りと水回りを特に意識し、外壁のひび割れや雨どいの破損などをチェックしましょう。不具合が見つかれば、早めにメンテナンスをすることで寿命を延ばせます。 室内では、キッチンや浴室、トイレなどの水回りのメンテナンスが特に重要です。水回りの耐用年数は10~20年程度であり、ローコスト住宅の寿命を延ばすには定期的に水回りのリフォームをする必要があります。
雨漏り
雨漏りはローコスト住宅の寿命を縮める原因になります。雨漏りを放置すると木材や金属が腐食して、建物に深刻なダメージを与えます。最悪の場合、地震や台風で建物が倒壊することもあるため特に注意が必要です。 雨漏りは徐々に進行し顕在化するまでに時間がかかることがあり、気づいたときには深刻な事態になっていることがあります。定期的に雨漏りをしていないかをチェックして、早めに対処することで寿命を延ばせます。
湿気・虫害
木造住宅にとって結露は大敵で、湿気対策を疎かにすると寿命が縮まります。通気性が悪いと湿気が十分に排出されず、結露が発生しやすくなります。結露が継続的に発生すると木材や金属が腐食して建物の寿命を縮めるため、十分な注意が必要です。 床下空間は湿気の温床であり、通気性が悪いとシロアリが発生しやすくなります。シロアリの発生は建物に深刻なダメージを与え、寿命を縮める原因になります。住宅の寿命を延ばすには、シロアリ対策が重要です。
ローコスト住宅の寿命を延ばす方法

建材の質や職人の技術などはローコスト住宅の寿命を左右します。設計プランをシンプルにするなどでローコスト住宅の寿命を延ばせますが、ここでは特に重要なポイントを解説します。
メンテナンスやリフォーム・リノベーションを行う
メンテナンスやリフォーム・リノベーションは、ローコスト住宅の寿命を延ばすための重要なポイントです。長期優良住宅の基準を満たしていれば、親・子・孫の3世代にわたる耐久性がありますが、これは適切なメンテナンスを実施することが前提になります。 ローコスト住宅を建てた後は定期点検を実施して、不具合が見つかれば速やかにメンテナンスを行うことで寿命を延ばせます。特に水回りの設備は劣化しやすいため、水回りのリフォームを行うことが大切です。 定期的な点検とメンテナンスにより、建物の安全性を確保できます。例えば、電気系統やガス設備の問題を早期に発見し、修繕することで火災や事故を防げます。建物に致命的なダメージを与える雨漏りやシロアリのチェックは特に重要です。
高品質な建材・工法を選ぶ
ローコスト住宅の寿命を延ばすには、基礎や壁、屋根などの主要構造部は、耐久度の高い高品質な建材を選ぶことがポイントです。木造住宅では、柱や梁などは無垢材や国産集成材を使用すると寿命を延ばせます。 ローコスト住宅は外国産集成材が使われることがありますが、日本の気候に合った国産木材がおすすめです。ハウスメーカーの中には、国産木材にこだわっているメーカーも存在します。 ローコスト住宅の工法は、木造軸組工法か2×4工法のどちらかになります。木造軸組工法は「点」で建物を支え、2×4工法は「面」で建物を支えるのが特徴です。耐震性や強度は、「面」で建物を支える2×4工法が優れています。 ただし、どちらの工法もメリット・デメリットがあるため、必ずしも2×4工法がおすすめとは限りません。最近は、木造軸組工法と2×4工法を組み合わせた工法を採用しているハウスメーカーが増えています。
信頼できる工務店やハウスメーカーを選ぶ
長寿命のローコスト住宅を建てるには、豊富な実績があり信頼できる工務店やハウスメーカーを選ぶことが重要なポイントです。寿命を延ばすには、工務店やハウスメーカーの選び方にかかっているといっても過言ではありません。 先述したように、ローコスト住宅の評判が悪くなった理由は、ハウスメーカーの不祥事が原因です。信頼できる工務店やハウスメーカーであれば手抜き工事をせず、丁寧に施工してくれます。 工務店やハウスメーカーを選ぶ際は、これまでの実績や利用者の評判などを調査して、信頼できるかを見極めることが大切です。アフターサービスや保証の内容もチェックして、長期保証を採用しているローコストメーカーをおすすめします。
ローコスト住宅を建てる際に押さえるべき重要なポイント

安全かつ快適に暮らすには、建物の耐震性や断熱性が重要になってきます。耐震性に問題があると地震で被害を受ける可能性があり、断熱性は居住空間の快適性を決める重要な要素です。 ここでは、ローコスト住宅を建てる際の重要なポイントである、耐震性と断熱性を解説します。
耐震性
日本は地震大国であるため、長寿命のローコスト住宅を建てるには、高い耐震性の確保が必要です。住宅の耐震性は日本住宅性能表示基準の耐震等級で判断できるため、最も耐震性が高い「耐震等級3」か「耐震等級2」であるかをチェックしましょう。 耐震等級3であれば、震度6強~7程度の地震でも損傷を受けない耐震性があります。耐震等級2は、耐震等級3に次ぐ耐震性があり、耐震性に大きな問題はありません。 ローコスト住宅の多くは耐震等級2であり、耐震等級2であれば長期優良住宅の基準を満たします。最も耐震性が高い耐震等級3のローコスト住宅もあり、耐震性を特に重視するのであれば、耐震等級3になるように設計されているローコスト住宅を選びましょう。
断熱性
断熱性は住み心地に大きな影響を与え、住宅の冷暖房効率に直接影響を与える重要な要素です。断熱性が高い住宅は外部の気温変化から室内を保護し、快適な居住環境を提供します。 また、断熱性能が高ければ冷暖房システムが効率的に機能し、電気代の節約にもつながります。住宅の断熱性を測る指標に「Q値」「Ua値」「C値」「断熱等性能等級」があり、各指標をチェックして断熱性能の高い住宅を建てることが大切です。 ローコスト住宅であっても、建物の断熱性にはこだわりましょう。ハウスメーカーの中には、高気密高断熱住宅の建設を得意としているメーカーも存在します。複数のハウスメーカーを比較して、ローコストで高気密高断熱住宅を建てられるメーカーを選ぶことが大切です。
ローコスト住宅は20年後も住み続けられる

ローコスト住宅であっても、一般的な住宅と寿命は変わりません。建材の質や職人の施工技術などに問題がなく、適切なメンテナンスを行えば、20年後も住み続けられるでしょう。 ローコスト住宅を建てる際は、信頼できるハウスメーカーや工務店を選ぶことが大切です。これまでの実績や利用者の口コミなどをチェックして、信頼度を見極めましょう。複数のハウスメーカーや工務店を比較することも重要です。 また、ローコスト住宅であっても、長期優良住宅の基準を満たしていれば高い耐久性を誇ります。長寿命のローコスト住宅を希望するのであれば、長期優良住宅の基準を満たしている住宅を選びましょう。
監修者:浮田 直樹

不動産会社勤務後、株式会社池田建設入社。いえとち本舗山口の店長を経て、セカンドブランドのi-stylehouse山口店店長に就任。後悔しない家づくりをモットーにお客様の家づくりの悩みを日々解決している。
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二世帯住宅はコストがかかるため、予算内で建築できるかが不安になるのではないでしょうか。ローコストの二世帯住宅も選択肢に含めると、予算内で建築できる可能性が高まります。 この記事では、ローコストの二世帯住宅の費用と間取りを解説します。お互いのプライバシーを確保しながら低コストで二世帯住宅を建てたい方は、ぜひ参考にしてみてください。 二世帯住宅とは?ローコストで二世帯住宅は建てられる?二世帯住宅の種類完全同居型部分共用型完全分離型ローコストの二世帯住宅のメリット・デメリットローコストの二世帯住宅のメリットローコストの二世帯住宅のデメリットローコストの二世帯住宅にかかる費用ローコストの二世帯住宅の間取りを決める際のポイント親世帯と子世帯のプライバシーの確保動線の効率化将来の変化に対応ローコストの二世帯住宅を建てる際の注意点親子でしっかりと話し合う希望をリストアップし優先順位をつける複数の業者を比較検討するローコストの二世帯住宅の間取りや施工事例完全同居型の間取りの事例部分共用型の間取りの事例完全分離型の間取りの事例ローコストで二世帯住宅は建てられる!しっかりと話し合って理想の間取りを実現しよう 二世帯住宅とは? 二世帯住宅とは、親子などの二世帯がひとつ屋根の下で暮らす住宅を指します。一般的な住宅にはないメリットがあり、親子の両世帯が助け合いながら暮らせます。子育てや介護が楽になり、相続税対策になる可能性があることは二世帯住宅ならではの魅力です。 戦前は親子二世帯が同居するライフスタイルが一般的でした。戦後に核家族化が進み、親子二世帯が同居するケースは少なくなっています。二世帯住宅は1970年代に誕生し、新しい住宅のスタイルとして定着しています。 二世帯住宅は住宅メーカーが考案した商品名で、建築基準法での定義はありません。完全同居型・部分共用型・完全分離型の3種類あり、ライフスタイルに合った間取りの二世帯住宅を建築できます。 ローコストで二世帯住宅は建てられる? ローコストで二世帯住宅を建てることは可能です。予算の関係で二世帯住宅の建築を諦めていた場合でも、建築できる可能性があります。二世帯住宅の価格は坪数や間取り、所在する地域、依頼先などによって異なりますが、3,000~5,000万円程度が相場の目安です。 しかし、ローコスト住宅の建築を得意としているハウスメーカーや工務店に依頼すると、2,000~4,000万円程度で二世帯住宅を建築できます。ローコストメーカーは、建材を一括で大量に仕入れたり、広告宣伝費を削減したりすることで低価格を実現しています。 ただし、ローコストで二世帯住宅を建てる際には、シンプルな形にしたり水回りをまとめたりする工夫が必要です。 二世帯住宅の種類 二世帯住宅は完全同居型・部分共用型・完全分離型の3種類に分けられます。二世帯住宅を建築する際は、3種類のうちどのタイプにするかを決めなければなりません。タイプによってプライバシーの確保や生活利便性が異なるため、慎重な検討が必要です。 ここでは、完全同居型・部分共用型・完全分離型のそれぞれの特徴を解説します。 完全同居型完全同居型は、一般的な一戸建て住宅に二世帯が同居するタイプの二世帯住宅です。玄関やリビング、キッチン、浴室などは親世帯と子世帯が共有します。一般的には高齢者の階段の上り下りを避けるため、親世帯の居室を1階に設け、子世帯の居室を2階に設けるケースが多いです。 完全同居型は、親世帯と子世帯が一致協力して子育てや介護をしたいファミリーに向いています。ただし、両世帯のプライバシーの確保は難しく、過干渉になったり衝突したりすることがあるため注意が必要です。お互いのプライバシーを尊重して暮らすことが大切になってきます。 部分共用型部分共用型は、玄関やキッチンだけを共有するなど、一戸建て住宅を部分的に共有するタイプの二世帯住宅です。玄関やキッチンなどは二世帯で共有しますが、居住スペースは分離しており、お互いのプライバシーに配慮しながら同居できます。 完全同居型と完全分離型の中間のタイプで、親子の関係性とプライベート空間のバランスが取れることがメリットです。完全分離型と比べると建築費を低く抑えられることもメリットで、共有部分を多くするほど建築費は割安になります。 ただし、完全分離ではないため、両世帯のプライバシーの確保には限界があります。ルールを設けて共有部分の利用方法などを調整し、生活スタイルの違いによるトラブルを防ぐことが重要です。 完全分離型完全分離型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯が完全に独立した住宅ユニットを持つ住宅形態です。玄関を2ヵ所設置し二世帯が完全に分離して暮らす形態であり、「同居」というより「近居」に近く、お互いのプライバシーを完全に保てます。 左右に完全に独立した住宅ユニットを持つ「完全左右分離型」と、1階と2階に独立した住宅ユニットを持つ「上下完全分離型」があります。いずれのタイプも両世帯のプライバシーを完全に保てますが、建築費が高額になることがデメリットです。 また、両親が亡くなれば片側が空き家になるため、将来の利用方法も考えておく必要があります。完全分離型の二世帯住宅は、プライバシーを重視し、独立性を保つのに適しますが、建設費用や両世帯の距離感についての検討が重要です。 ローコストの二世帯住宅のメリット・デメリット ローコストの二世帯住宅は、一般的なローコスト住宅と二世帯住宅の特性を併せ持っており、特有のメリット・デメリットがあります。ローコストの二世帯住宅を建築する際は、メリット・デメリットを総合的に検討することが大切です。 ここでは、ローコストの二世帯住宅に特有のメリットとデメリットをご紹介します。 ローコストの二世帯住宅のメリットローコストの二世帯住宅は、一般的な二世帯住宅と比べると建設費用を低く抑えられることがメリットです。完全同居型だと1,000万円台で建築できる可能性があり、完全分離型でも工夫を施すと2,000~3,000万円程度で建てられる場合があります。 一般的な二世帯住宅と同様に、お互いのプライバシーを確保しながら、家族間の交流の機会が増えることもメリットです。建築費を低く抑えつつ、二世帯住宅ならではのメリットを享受したいファミリーにとって、ローコストの二世帯住宅は最適な選択肢でしょう。 ローコストの二世帯住宅のデメリットローコスト住宅は間取りや設備の自由度が低く、希望する間取りや設備が実現できない場合があります。間取りや設備の変更が可能であっても、オプション追加費がかかります。また、断熱性能が低い建材が使用される可能性もあり、信頼できるローコストメーカーに依頼することが大切です。 一般的な二世帯住宅と同じく、プライバシーの確保などの問題が発生する可能性があることもデメリットになります。完全分離型にするとお互いのプライバシーを確保できますが、建築費が割高になるため注意が必要です。 ローコストの二世帯住宅にかかる費用 一般的なローコスト住宅の相場は坪単価30~50万円程度であり、二世帯住宅の仕様にすると坪単価45~60万円前後が目安です。 完全同居型の二世帯住宅であれば一般的なローコスト住宅と間取りは変わらないため、30~40坪であれば900~2,000万円程度で建築できる可能性があります。 部分共用型は間取りにもよりますが、40~50坪であれば1,800~3,000万円程度が相場の目安になるでしょう。完全分離型は最も建築費が高く、55~65坪であれば2,500~4,000万円程度が相場の目安です。 これはあくまでも相場の目安であり、実際の建築費は要望を伝えたうえで見積もりを取得し、確認すると良いでしょう。 ローコストの二世帯住宅の間取りを決める際のポイント ローコストに限らず、二世帯住宅は間取りが最も重要であり、間取りによってプライバシーの確保や生活利便性が変わってきます。「親世帯と子世帯のプライバシーの確保」「動線の効率化」「将来の変化に対応」の3点が、間取りを決める際の重要なポイントです。 ここでは、ローコストの二世帯住宅の間取りを決める際の3つのポイントを解説します。 親世帯と子世帯のプライバシーの確保親世帯と子世帯のプライバシーの確保をどうするかによって間取りは決まります。完全同居型は一般的な一戸建て住宅と同じであるため、親世帯と子世帯のプライバシーの確保は難しいです。 部分共用型は親世帯と子世帯の関係性や距離感を保ちながら、お互いのプライバシーを確保できます。ただし、玄関やキッチンなどの共有スペースでは顔を合わせるため、プライバシーの確保には限界があります。 完全分離型であれば、完全なプライバシーの確保が可能です。家計も完全分離ができ、水道光熱費の負担の割合で揉めることもありません。完全同居型と部分共用型はトラブルを防ぐため、水道光熱費の負担の割合を事前に決めておきましょう。 動線の効率化二世帯住宅の間取りの設計において、動線の効率化は極めて重要なポイントです。室内のスムーズな移動と利便性を確保することで、快適かつ機能的な住環境が実現します。動線の効率化のポイントは、動線を可能な限り短くし、別の動線と交差しないようにすることです。 動線がスムーズであればキッチンから居室などへの移動が楽になり、より快適に暮らせます。また、完全同居型と部分共用型の二世帯住宅は親世帯と子世帯が共有スペースを使うことがあるため、動線を工夫することでお互いのプライバシーを尊重できます。 さらに間取りを決める際は、トイレや浴室など衛生面に関する「衛生動線」と、調理や洗濯など家事に関する「家事動線」が交差しないようにすることも、利便性や快適性、プライバシーの確保において重要です。 将来の変化に対応間取りを決める際は、子どもの成長や親の介護、死別など、将来の変化も考慮することが大切です。家族構成やニーズは時間とともに変化するため、適切な設計を行うことで、将来の変化に柔軟に対応できます。 子どもが成長するにつれて、個別の勉強部屋や寝室が必要になる場合があります。兄弟姉妹がいる家庭では、子どもの成長を意識して間取りを決めましょう。親の介護が予想される場合は、バリアフリー化や親の居室を1階に配置するなど、アクセスしやすい間取りの設計が重要です。 両親が高齢の場合は、親世帯の死別も考慮する必要があります。特に完全分離型は半分が空き家になるため、賃貸に供するなど将来の利用方法を念頭に間取りを設計しましょう。完全同居型と部分共用型は、部屋の再配置や用途の変更を容易に行えるようにしておくと、将来の変化に柔軟に対応できます。 ローコストの二世帯住宅を建てる際の注意点 ローコストの二世帯住宅を建てる際は、家族同士の話し合いなどが重要になってきます。複数の業者を比較することも大切です。ここでは、ローコストの二世帯住宅を建てる際に、特に注意しておくべき事項を解説します。 親子でしっかりと話し合うローコストの二世帯住宅を建てる際は、親子でしっかりと話し合うことが大切です。どのような生活環境を求めるのかや、どのようなプライバシーの確保が必要なのかなど、意見を交換することで理想の二世帯住宅が実現します。 完全同居型と部分共用型の二世帯住宅の設計においては、プライバシーの確保と共有スペースのバランスを考える必要があります。お互いのプライバシーを尊重できるようにするために設計やルールを話し合い、合意を形成しましょう。 二世帯住宅の建築にはコストがかかります。建築費の費用負担の割合を話し合って決めておくことが大切です。完全同居型と部分共用型は、水道光熱費の費用負担の割合も事前に決めておくと、将来のトラブルを防げます。 希望をリストアップし優先順位をつける親子双方の希望をすべて実現させると予算オーバーになる可能性があります。希望は優先順位づけが必要です。親子双方の希望事項をリストアップし、優先順位をつけることで、どの要素が最も重要かが明確になります。 これにより、設計や予算の決定において焦点を絞りやすくなり、限られた予算を最適に配分できるようになります。コスト効率の向上は希望を可能な限り実現するのに欠かせません。最も重要な要素に予算を割り当て、それに従って設計を調整できます。 希望事項をリストアップし、優先順位をつける際には、家族全員が参加しての話し合いを通じて合意を形成することが成功の鍵となります。間取りの設計プロセスがより円滑に進行し、家族全員が納得できる住環境を実現するのに役立つでしょう。 複数の業者を比較検討するローコストの二世帯住宅の施工実績が豊富な業者を3社程度選んで、相見積もりを取ることは重要です。複数の業者から見積もりを取得することで価格競争が生まれ、建築費をより低く抑えられる可能性が高まります。 ただし、価格だけで比較するのは禁物です。価格が安くても品質が悪ければ建ててから後悔するでしょう。各社のこだわりや強みを比較して、予算内で希望を実現可能で信頼できる業者を選ぶようにします。 業者の信頼性と品質を評価するには、過去の施工実績や、実際に利用したことのある人の口コミが参考になります。アフターフォローや保証条件も重要であり、保証期間なども比較検討しましょう。長期保証を採用していれば建ててからも安心です。 ローコストの二世帯住宅の間取りや施工事例 ローコストの二世帯住宅の間取りを決める際は、ハウスメーカーのホームページやブログなどに掲載されている間取り図や施工事例が参考になります。さまざまな間取り図や施工事例を確認することで、理想的な間取りがわかるようになるでしょう。 ここでは、ローコストの二世帯住宅の間取りや施工事例をご紹介します。 完全同居型の間取りの事例完全同居型の間取りの事例として一般的なのは、1階に共有スペースと親世帯の居室を配置して、2階は子世帯の居室を配置する間取りです。以下のような間取りが参考になります。 1階 ・共有の玄関ホール ・共有のリビングルーム ・共有のキッチン ・共有の洗面室 ・共有の浴室とトイレ ・親世帯の居室や寝室 2階 ・子世帯の居室や寝室 ・子世帯の子どもの勉強部屋 ・子世帯の洗面室 ・子世帯のトイレ ・収納スペース ・バルコニー 予算やスペースに余裕があれば、2階に子世帯専用のミニキッチンを設置することも検討できます。完全同居型の二世帯住宅の間取りは、パブリック空間とプライベート空間のバランスを最適にするのがポイントです。親子でしっかりと話し合って間取りを決めましょう。 部分共用型の間取りの事例部分共用型は共有スペースを何にするかによって間取りが決まります。玄関とキッチンを共有する場合の間取りの事例は以下のとおりです。 1階 ・共有の玄関ホール ・共有のリビングキッチン ・親世帯の洗面室 ・親世帯の浴室とトイレ ・親世帯の居室や寝室 2階 ・子世帯の居室や寝室 ・子世帯の子どもの勉強部屋 ・子世帯の洗面室 ・子世帯の浴室とトイレ ・バルコニー 部分共用型の二世帯住宅は、双方の日常生活に支障のない間取りにするのがポイントです。また、双方のプライバシーを尊重しながら共同生活を楽しむための設計が求められます。動線の効率化を意識して、各世帯が共有スペースやプライベートなスペースにアクセスしやすいように設計しましょう。 完全分離型の間取りの事例完全分離型は「完全左右分離型」と「上下完全分離型」がありますが、どちらのタイプも親世帯と子世帯が独立した住宅ユニットを持ちます。間取りの事例は以下のとおりです。 上下完全分離型 1階 ・親世帯の玄関ホール ・親世帯のリビングキッチン ・親世帯の洗面室 ・親世帯の浴室とトイレ ・親世帯の居室や寝室 ・和室や洋室 2階 ・子世帯の玄関ホール ・子世帯のリビングキッチン ・子世帯の洗面室 ・子世帯の浴室とトイレ ・子世帯の居室や寝室 ・子世帯の子どもの勉強部屋 ・バルコニー 完全左右分離型も1階と2階が左右になるだけで、基本的な間取りはほぼ同じです。2階には親世帯・子世帯専用のバルコニーを設置できます。完全分離型は親子の関係性を維持するために、二世帯が交流しやすい間取りにするのがポイントです。 ローコストで二世帯住宅は建てられる!しっかりと話し合って理想の間取りを実現しよう ローコストで二世帯住宅の建築は可能です。ローコストの二世帯住宅の建築を得意としているハウスメーカーや工務店に依頼すると、2,000~4,000万円程度で二世帯住宅を建築できます。間取りを工夫すると、1,000万円程度でも建築できる可能性があります。 二世帯住宅を建築する際は、間取りの決め方が特に重要です。親世帯と子世帯のプライバシーの確保と動線の効率化、将来の変化への対応の3点を念頭に、最適な間取りを検討しましょう。 間取りを決める際は、家族同士でしっかりと話し合うことが大切です。建築費や水道光熱費の負担の割合なども決めておくと、トラブルを未然に防げます。しっかりと話し合って、理想の二世帯住宅を実現させてください。 監修者:宅地建物取引主任者 浮田 直樹不動産会社勤務後、株式会社池田建設入社。いえとち本舗山口の店長を経て、セカンドブランドのi-stylehouse山口店店長に就任。後悔しない家づくりをモットーにお客様の家づくりの悩みを日々解決している。