ブログ/コラム
Blog/Column
建物・家づくり
擁壁とは?種類や費用、注意点を徹底解説

住宅や土地については、「擁壁(ようへき)」という構造物が、時として深く関わってきます。
今まさに「住宅メーカーから”擁壁工事が必要ですよ”と言われた」、という人も多いのではないでしょうか?
しかし擁壁というのは少し専門的なものなので、何のことなのかよく分からない部分もあるはずです。
実は擁壁は、意外にもお金や時間がかかるケースもあるので、よく知っておかなければいけません。
本記事では 擁壁の概要や種類、費用や注意点について詳しく解説します。
擁壁とは?

そもそも擁壁とはなんなのか、まずはおさえておきましょう。
擁壁とは、一言で言えば「地面の崩壊などを防ぐために作られた、壁状の構造」を指しています。
住宅を建てる土地はかならずしも周囲の地形と同じ高さとは限りません。
時には、道路などよりも少しだけ高い位置に建てるケースもあります。
このままだと、隣接する地形と高低差が生まれてしまいますね。
そうすると、建物の重量や雨水の水圧などがかかってしまい、盛り立てられた土などは崩壊する可能性が出てくるわけです。
もちろん、そんなリスクがある中で建物を建てるわけにはいきません。
それを擁壁で囲ってしまうことで、崩壊、崩落を防ぎます。
意外にも擁壁は、とても重要な役割を果たしているのです。
擁壁工事の種類は?

擁壁工事には、いくつかの種類があります。
具体的には、
-
鉄筋コンクリート造
-
練積みコンクリートブロック
-
石積み
の3種類が挙げられるでしょう。
より細かく分類することも可能ですが、基本的には上記3種類であると考えて問題ありません。
3種類のうちうち、もっとも用いられる機会が多いのは鉄筋コンクリートの擁壁。
鉄筋コンクリートは精密に設計しやすく、耐震性も強い擁壁を作ります。
コンクリートの中に鉄筋を埋め込んでいるので、印象としても頑強そうに感じられるはずです。
ちなみに鉄筋コンクリートは逆L字・逆T字・L字型があり、土地や周辺の地形を鑑みて常時使い分けられます。
練積みは、コンクリートブロックをいくつも積み上げていく工法ですね。
ブロックの隙間にコンクリートを流し込み、擁壁としての強度をもたらします。
そのままだと少し殺風景なので、表面にタイルを張り付けるなどして、美観的にもすぐれた擁壁に仕上げることが多い様子。
ブロックの形や風合いを変えることで、さらにスタイリッシュな擁壁を作り上げることも可能です。
石積みによる擁壁も、ほとんど同様の工法で構築されるものです。
ただしコンクリートブロックではなく、30cmから50cm角に成形された石を使います。
見た目には”お城”ような風情を残しつつも、ちゃんと現在の建築基準に沿った強度を確保で絵きるものです。
ただし、最近は石積みの擁壁は、あまり進んで採用されない様子。
ちなみにコンクリートブロックと石積みを用いる工法は、鉄筋コンクリート造の擁壁と比較してコストが安くなりやすい傾向にあります。
コストのことが気になるなら、鉄筋コンクリート造の擁壁は見送ったほうがよいかもしれませんね。
擁壁工事の費用や工期は?

擁壁工事の費用と工期は、土地の条件などによって大きく左右されます。
1平方メートルあたり3万円から13万円程度。
基本的に鉄筋コンクリート造がもっとも高価で、そのあとコンクリートブロック造→石造に続くと考えて問題ありません。
いずれにせよ、擁壁工事全体で数百万円程度の費用はかかってくる考えておきましょう
擁壁工事の費用が上下することには、やはり工事そのものの難易度や手間が関係しています。
たとえば、土地周りが急勾配だったりすると、擁壁工事の難易度は跳ね上がるわけです。
すると、擁壁工事の費用も高くなってしまう部分があります。
また、目の前に狭い道路がある場合は、工事中には通行制限を実施する場合もあります。
となると、当然ながら通行制限に要する人件費などもかかってくるわけです。
その他、
-
現場へのアクセスが悪い
-
周辺道路の道が狭く、何度も資材運搬でトラックを往復させなければいけない
-
その他、建築基準をクリアするために特別な処置が求められる
といった要因が絡んでくると、費用は高くなります。
できるだけ無理のない擁壁工事を選択して、費用をおさえたいところですね。
ただし分譲地などであれば、あらかじめ土地代に擁壁工事にかかる費用が含まれている場合もあります。
その場合は、土地を買ったあとで擁壁工事にかかる費用を支払う必要はないわけです。
また、擁壁工事に対しては自治体から補助金や助成金が支給されるケースもあります。
擁壁の種類や工事内容などで条件は定められていますが、もしかしたら支給対象に該当するかもしれません。
たとえば東京都世田谷区であれば、条件を満たしていれば工事費用の1/3が、補助金として支給されています。
同様に、籍を置いている自治体でも補助金が制度として存在するかもしれません。
擁壁工事を実施する場合は、事前に自治体へ問い合わせておきましょう。
担当者などに相談することでも、補助金や助成金の話が聞けるはずです。
また工期の長さについては、やはり一概には断定できない部分があります。
ただし目安で言うと、30日か40日くらいはかかると考えましょう。
擁壁トラブルやリスクを回避するための注意点

擁壁をめぐっては、ときどき大小含むトラブルが起こります。
もっとも多いのが、擁壁の補修費用がかかるという問題。
特に中古住宅を購入するうえで、この問題が立ちはだかるケースは少なくありません。
いかに頑強な擁壁でも、その耐用年数は30年から50年ほどが限界です。
つまり中古住宅を購入する際、すでに擁壁が耐用年数上限近くを迎えている場合があります。
すると、擁壁としての役割が果たされない、あるいは建築基準を下回っているといったことが起こり得るわけです。
つまり、擁壁があとどれくらい耐用するのか、事前に把握しておかなければいけません。
また、擁壁をめぐって隣家の人と揉めてしまうケースもあります。
擁壁があることで、「境界線の認識に相違がある」、「補修するとして、どちらが何割を負担すべきか判然としなくなる」といったトラブルは、決して少なくありません。
これについては事前に土地の”境界杭”を参照し、擁壁の位置取りと矛盾していないかチェックするなど、事前段階での調査が求められます。
まとめ

擁壁は、普段は街の一風景にしか見えないかもしれません。
しかし、擁壁があることで建物の荷重や水圧、あるいは地震による崩壊から、住宅を守ってくています。
擁壁は、安心安全な住宅を建てるうえで、とても重要な役割を果たすものです。
擁壁工事が必要であった場合、擁壁の種類や費用、あるいは工期などについて、よく考えておく必要があるでしょう。
そして、自治体ごとで存在する補助金や助成金の制度についても、きちんと確認しておく必要があります。
いえとち本舗では、今回お話しした擁壁のように、家づくりにおいて少し専門的な内容もわかりやすく解説しています。
ぜひ一度、資料請求、および会員登録をしてみてください。
資料請求する
会員登録する
関連記事
-
シンボルツリーの魅力は?おすすめの樹種やメリットなどを解説
シンボルツリーは外観を魅力的に見せてくれるシンボルとなります。樹木の種類はいくつもあって、その役割は見栄えの他にも遮蔽や日差し除けなど生活面でも役に立つ存在です。この記事ではシンボルツリーの魅力をいろいろとご紹介していきます。1 シンボルツリーとは2 シンボルツリーを植えるメリットは?3 シンボルツリーの種類について4 おすすめのシンボルツリー5 まとめシンボルツリーとは住宅を引き立たせるためのポイントとなる樹木のことをシンボルツリーといいます。すてきな建物にはどこか引き込まれてしまうような魅力的な庭が続いています。そんな庭の魅力を一心に視線を集めさせるポイントとなるのがシンボルツリーです。樹木があることで日の光の遮蔽や外部からの視線を遮る目隠し、光合成による空気の浄化など環境づくりにも一役買っています。視線に焦点を向けさせる役割の他にも、新築や改築、子供の出産などの祝福ごとの記念樹としても植えられることがあります。どんな樹木を選ぶかということがポイントになりますが、環境や建物の雰囲気などを考慮する必要があり、条件に適した樹木を選ぶことがとても重要になります。景観、環境、生活などさまざまな目的を持ちながら、外観の雰囲気を大きく印象づけてくれる存在ですので、どんな樹木が適しているかしっかり計画して選んでいくことが大切です。 シンボルツリーを植えるメリットは?庭のシンボル 視線を集め庭を引き立たせることができるメリットがあり、シンボルとなる樹木がそこにあることで外観を補い、魅力的な雰囲気を演出してくれます。シンボルツリーは気持ちを明るくさせ、快適な生活を届けてくれる存在となるでしょう。 プライバシーや防犯性の確保 建物が建つ敷地は建築基準法に則って接道する義務があるため、外部からの視線に配慮することが重要です。シンボルツリーは、そんな視線を遮る役目を担っており、プライバシーや防犯の確保につながります。シンボルツリーの枝葉が敷地内や住宅内の生活を遮ってくれますので、安心して生活をおくることができるでしょう。 環境づくり 樹木の光合成により空気をきれいにしてくれる効果が期待できます。その他にも風よけ、日差し避けなどにもシンボルツリーは役立ち、室内環境を整え居心地のいい生活を届けてくれます。また、耐火性のある樹木は火災の延焼防止になり、周辺の建物の延焼を防ぐ効果があります。 シンボルツリーの種類について常緑樹 年中緑の葉を保つ樹木を常緑樹といいます。落葉しないわけではありませんが、常に新芽を出すため、豊かな緑が外観を明るくさせてくれるでしょう。【メリット】葉を常に保っている状態のため、外部からの視線を遮蔽するのに効果があります。また、樹木の色彩が一年を通して維持されるため、自然の癒しを存分に楽しむことができる樹木です。【デメリット】冬でも葉を落とさないため日陰をつくりやすいのがデメリット。夏場は日が当たらないため室温上昇を抑えますが、冬の場合は日陰のせいで室温が下がってしまう原因にも。また、木陰となる場所に草花を植えてしまうと育たないため注意しましょう。 落葉樹 春から秋まで葉を茂らせ、冬は葉が落ちる樹木が落葉樹です。季節のうつろいで表情を変え、景観を楽しませてくれる特徴があります。【メリット】葉を茂らせる時期と葉を落とす時期があり、夏は茂らせた葉が木陰をつくり室温上昇を抑え、冬は葉が落ちるため日差しが室内にはいり室温を下げることを抑止してくれます。また、紅葉を楽しむことができるのも落葉樹の魅力といえます。【デメリット】冬は葉を落としてしまうため返って視線の遮蔽性は損なわれてしまいます。また、冬の季節は葉を落とすため庭のお手入れも必要です。 低木 樹木には高木と低木があり、低木は2〜3m内のあまり高く成長しない樹木のことです。低木にも常緑樹と落葉樹があります。【メリット】低木は大きく成長しないため、高くなりすぎてしまったり、枝葉が伸びすぎてしまったりした時の手入れの心配がなく管理が容易です。【デメリット】低木の場合は、高木と比べてそこまで高くならないため、外観を引き立たせるにはややインパクトが足りないと感じるかもしれません。また、生育するスピードもゆるやかですので、立派な姿になるまである程度年月がかかります。 鉢植えのシンボルツリー 管理が簡単でスペースをそこまで確保できない場所でも取り入れることができます。ベランダやテラスに配置することも可能ですので、マンション住まいの方にもおすすめです。【メリット】鉢に飢えているためレイアウトの変更が容易です、地面に植えた樹木はそう簡単に移動することはできませんが、鉢植えなら簡単に移動することができ、気分にまかせてレイアウトを変えることも。引っ越しなども移動が楽ですので、手軽に取り入れたいという方におすすめです。【デメリット】鉢に植えるという制約があるため樹種が限られてしまいます。また、成長すると植え替えが必要です。 おすすめのシンボルツリー常緑樹 【オリーブ】モクセイ科オリーブ属洋風のお家にぴったりな人気のあるオリーブ。強い日差しと乾燥に耐性があり、虫もつきにくい特徴があります。色の濃い緑の葉がどこか涼しさを感じさせてくれてお庭を彩ってくれるでしょう。【ソヨゴ】モチノキ科モチノキ属軽やかな印象があり、重たさや圧迫感を感じさせず、落ち着いた雰囲気は和風、洋風問わないナチュラルさがあります。枝の伸びも一年間で20cm程度ですので、伸びた枝で外壁を傷つけたくないという方に向いています。 落葉樹 【ハナミズキ】ミズキ科ミズキ属古くから親しまれている落葉樹。花を咲かせ紅葉を楽しませてくれる季節感のあるシンボルツリーです。花の色はピンクや白、赤など種類も多岐に渡り、スリムな姿と維持のしやすさも魅力的です。【イロハモミジ】ムクロジ科カエデ属同じく植木として古くから親しまれているイロハモミジ。美しい姿は和風建築を一層引き立たせる魅力があります。樹木の高さは3〜4mほどを想定しておくこと。植栽スペースを余裕持って確保する必要はありますが、立地や環境がぴったりあえばとても魅力的なシンボルツリーになります。 低木 【ビバーナム・スノーボール】スイカズラ科かわいらしい丸い形の花が特徴的で、緑から白に変わる花は季節の変化を感じることができます。日当たりが多少悪くても育ってくれる丈夫な品種ですので、初心者の方にもおすすめです。【ドウダンツツジ】ツツジ科丸く小さな花が繊細さを演出し、花の美しさを鑑賞することができます。昔から人気のある庭木で生垣にも使われる低木の落葉樹です。ドウダンツツジは春に咲く花と秋の紅葉と一年中楽しめる数少ない落葉樹の一つになります。 鉢植え 【ブルーベリー】ツツジ科春に小さなつぼみ型の花を咲かせる落葉低木。低木ですから狭い庭や鉢植えでも楽しめるのが魅力。かわいい白い花と枝に実らす果実、秋は紅葉の美しさと、季節の変化を感じさせてくれます。【ミモザ(アカシア)】モクセイ科トネリコ属開花期は2〜4月、幹は直立する美しさがあり、シルバーリーフという銀色がかった緑色の葉と明るく元気な黄色い花を咲かせます。樹高は3〜5mほどとサイズがちょうどいい樹木で、鉢植えにすると成長を抑え管理がしやすくなります。 まとめ シンボルツリーは外観を引き立たせる効果があり、家のシンボルになります。見栄えだけでなく、目隠しや生活環境を整えてくれる効果も期待できますので、ぜひ家づくりの際はすてきなシンボルツリーを植えてあげましょう。家づくりは情報収集することが大切です。いえとち本舗は無料で家づくりに役立つ資料を提供しておりますので、これから家を購入しようと考えている方はぜひご利用ください。資料請求はこちらからさらに会員登録をするとVIP会員様限定の間取り集や施工事例、最新の土地情報をお届けいたします。当社は一切押し売りを致しませんので安心してご登録ください。会員登録はこちらから
-
地震大国日本で本当に安心できる家とは?耐震等級3の必要性と選び方
1. そもそも日本の住宅に「耐震」はどれくらい求められている? 1-1. 世界と比べた日本の地震リスク 1-2. 近年の大地震と住宅被害の実態2. 「耐震性能」の基礎知識をわかりやすく解説 2-1. 耐震等級って何?(等級1・2・3の違い) 2-2. 耐震等級3はどれくらい強い?どこまで安心できる? 2-3. 耐震・制震・免震の違い3. 「耐震等級3」は本当に必要? どんな人・家族におすすめか 3-1. 等級1・2・3、どこまで求めれば安心? 3-2. 耐震等級3のメリット・デメリット4. 耐震性能を高めるには? ~間取り・構造・工法・建材のポイント~ 4-1. 木造・鉄骨・RC構造の違いと特徴 4-2. 間取りや設計で耐震性を上げるポイント5. 気になるコストと実例比較 ~“安心”はどこまでお金で買える?~ 5-1. 耐震等級3のコストはどれくらい? 5-2. 保険や減税など“目に見えない安心”も知っておこう6. まとめ ~これから家を建てる人・選ぶ人へのアドバイス~7. 【PR】池田建設では全棟“耐震等級3”を標準仕様。過去に倒壊0件の実績 1. そもそも日本の住宅に「耐震」はどれくらい求められている?1-1. 世界と比べた日本の地震リスク日本は、世界でも有数の「地震大国」として知られています。実際、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が日本周辺で発生しており、私たちの暮らす日本列島は4つのプレートがぶつかり合う“地震の巣”に位置しています。そのため、地震による被害は決して他人事ではありません。世界的に見ると、欧米やアジアの多くの国では住宅の耐震性をここまで厳しく求めていませんが、日本では「住宅は地震から人の命を守るもの」という強い意識が根付いています。1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災など、大きな地震のたびに住宅被害が社会問題となってきました。だからこそ、「どのくらいの耐震性能が必要か?」は、住宅選びの最重要ポイントの一つなのです。1-2. 近年の大地震と住宅被害の実態日本の住宅がどれほど地震にさらされているかは、過去の大地震の被害状況からも明らかです。たとえば阪神淡路大震災では、古い木造住宅を中心に20万棟以上が全壊・半壊し、多くの命が失われました。東日本大震災では津波の被害が大きく報道されましたが、地震そのものでも住宅倒壊による被害が発生しました。熊本地震(2016年)では、新耐震基準(1981年施行)以降の住宅でも、一部が倒壊しています。これらの事例から分かるのは、「法律の基準を満たしていれば絶対に安心」というわけではなく、より高い耐震性や、家族構成・立地条件に合わせた備えが必要だという現実です。地震への備えは、被害が起こってからでは間に合いません。「うちの地域は大丈夫」と油断せず、地震リスクを正しく知った上で“どこまで耐震を求めるか”を考えることが、安心な住まいづくりの第一歩となります。 2. 「耐震性能」の基礎知識をわかりやすく解説2-1. 耐震等級って何?(等級1・2・3の違い)「耐震等級」とは、住宅がどの程度の地震に耐えられるかを示す“強さのランク”です。住宅性能表示制度で定められており、等級1・2・3の3段階があります。等級1は、建築基準法と同じ耐震性能。震度6強~7程度の地震でも“倒壊しないレベル”を基準とします。等級2は、等級1の1.25倍の地震力に耐える設計で、主に学校や病院など災害時の拠点となる建物で採用されています。等級3は、等級1の1.5倍もの地震力に耐えられる最高ランク。消防署や警察署など、防災拠点としての役割を担う建物が基準となっています。新築住宅の場合、最低限“等級1”をクリアすることが法律で義務づけられていますが、より安心を求めるなら「等級3」を選ぶケースが年々増えています。大規模地震の経験を重ねるごとに、“家族の命を守るためにどこまで備えるか”という意識が高まっています。2-2. 耐震等級3はどれくらい強い?どこまで安心できる?耐震等級3は、住宅の耐震性の中でも最も厳しい基準をクリアした“最高ランク”です。具体的には、「建築基準法で定められた震度6強~7の1.5倍」の揺れにも倒壊しない設計になっています。これは、消防署や警察署など、防災の拠点となる重要施設と同じ基準です。実際に熊本地震(2016年)では、耐震等級3の木造住宅は、連続する震度7の地震にも“ほとんど倒壊しなかった”という調査結果も出ています。つまり「等級3なら絶対に壊れない」と断言はできませんが、住宅の被害リスクを大幅に下げ、「家族の命と財産を守る」安心感が大きく高まります。また、等級3の住宅は地震保険料が割安になったり、住宅ローン減税・各種補助金の対象になることも多く、経済的なメリットも得やすくなります。「どこまで耐震性を重視すべきか」迷う場合、“一生住む家”なら等級3を選ぶ価値は十分にあると言えるでしょう。2-3. 耐震・制震・免震の違い耐震住宅と一口に言っても、「耐震」「制震」「免震」といった異なる技術があります。耐震は、家そのものを頑丈に作り、地震の揺れに「耐える」考え方。柱や壁、金物など構造自体の強さがポイントです。制震は、家の中にダンパー(揺れを吸収・減衰する装置)を組み込むことで、建物の揺れを抑える仕組み。特に繰り返しの余震に強いのが特徴です。免震は、建物と地盤の間に特殊な装置(免震装置)を設置し、地震の揺れをそもそも建物に伝えにくくする工法。高層マンションや公共施設で多く採用され、揺れそのものを“切る”のが最大のメリットですが、コストや敷地の条件による制約もあります。このように、耐震は「強度で守る」、制震は「揺れを抑える」、免震は「揺れを避ける」というイメージ。それぞれの特性を理解し、必要に応じて選択・組み合わせることが重要です。 3. 「耐震等級3」は本当に必要? どんな人・家族におすすめか3-1. 等級1・2・3、どこまで求めれば安心?耐震等級には1・2・3のランクがありますが、「実際どこまで必要なのか?」は悩むポイントです。まず等級1は“最低限の基準”であり、大地震が来ても「倒壊はしない」レベルです。しかし、繰り返しの大きな余震や、震度7クラスが連続した場合には損傷や半壊リスクが残ります。等級2は、等級1より25%強い設計で、主に学校や病院など避難所レベルの安全性。等級3はそのさらに上で、地震後も自宅で生活を続けられる“生活の拠点を守る”設計思想です。近年の熊本地震でも、等級3の住宅は大きな損傷を免れたケースが多く報告されています。家族や財産を守るための「命の備え」と考えれば、これから新築するなら等級3を強くおすすめします。安心できる暮らしを長く続けたい方にこそ、等級3の価値があります。3-2. 耐震等級3のメリット・デメリット耐震等級3の最大のメリットは、何より「大きな地震でも倒壊リスクが著しく低い」という安心感です。また、地震保険料の割引や住宅ローン減税・自治体の補助金対象になりやすいなど、経済面でも優遇されるケースが多いです。さらに将来の売却時にも「等級3で建てられた家」という付加価値がつくこともメリット。一方で、デメリットとしては標準の等級1・2よりコストアップする点が挙げられます(概ね数十万円~程度が目安)。また、間取りやデザインの自由度に制約が出る場合もあります。とはいえ「家族の安全」と「住宅価値の維持」は、多少のコスト差以上の意味を持つと考えられるでしょう。大切なのは、“本当に後悔しない選択”をすること。等級3は一度きりの家づくりを「命を守る投資」に変える選択肢です。 4. 耐震性能を高めるには? ~間取り・構造・工法・建材のポイント~4-1. 木造・鉄骨・RC構造の違いと特徴住宅の耐震性を語る上で、建物の「構造」は大きなポイントです。日本の戸建住宅で主流なのは木造ですが、鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造も選択肢にあります。木造住宅は、適切な設計と補強を行えば高い耐震性を確保できます。近年の木造住宅は耐力壁や金物で補強し、「等級3」にも対応可能。コスト面や自由度の高さも魅力です。鉄骨造住宅は、柱や梁に鋼材を使うことで高い強度としなやかさを兼ね備えています。揺れを分散させやすい構造ですが、接合部の設計や施工品質が耐震性に直結します。RC造住宅は、鉄筋とコンクリートの組み合わせで強固な構造を実現。耐震性・耐久性ともに非常に高いですが、コストと工期がかかるため戸建てよりもマンションや公共建築でよく採用されています。どの構造でも「正しい設計・施工」が重要であり、“構造ごとの特徴”を理解し、家族のライフスタイルや予算に合わせて選ぶことがポイントです。4-2. 間取りや設計で耐震性を上げるポイント耐震性は構造だけでなく、「間取り」や「設計」によっても大きく変わります。まず、シンプルな形状(正方形・長方形など)は地震力をバランスよく分散しやすく、倒壊リスクを下げられます。凹凸の多い間取りや吹き抜け、大きな開口部が多い場合は、耐力壁の配置や梁・柱の補強が不可欠です。また、「壁量」「耐力壁のバランス」「接合部の強度」など、設計段階でしっかりと耐震性を意識することが重要です。2階建ての場合は1階と2階の壁の位置を揃える、重い屋根材は避ける、基礎の強度を高めるなども有効な対策です。近年は「制震ダンパー」や「高耐力パネル」など新しい技術も普及し、木造住宅でも地震への強さをさらに高めることができます。設計の段階から“耐震性優先”の姿勢で家づくりを進めることが、家族の命と資産を守る大きなカギとなります。 5. 気になるコストと実例比較 ~“安心”はどこまでお金で買える?~5-1. 耐震等級3のコストはどれくらい?耐震等級3の住宅にする場合、標準仕様(等級1)と比べてどれくらいコストがかかるのか、気になる方も多いでしょう。実際の費用差は、建物の規模や工法、設計の自由度によって変わりますが、一般的な木造戸建住宅の場合「数十万円~100万円程度の追加費用」が目安となります。このコストには、壁や柱の補強、耐力壁の追加、構造用金物のグレードアップ、設計検査の手間などが含まれます。一方で、建物価格全体から見れば決して大きな負担ではありません。また、耐震等級3は地震保険料の割引が受けられることも多く、将来的な経済メリットも見逃せません。「安心」を買うコストと考えれば、住宅ローンで分割負担できるため、日々の生活を大きく圧迫する心配もありません。一生に一度の家づくりだからこそ、将来の安心のための“必要経費”として前向きに検討する価値があります。5-2. 保険や減税など“目に見えない安心”も知っておこう耐震等級3の住宅には、「目に見える安全」だけでなく、経済的な“見えない安心”も付いてきます。たとえば地震保険では、等級3の場合に大きな割引が適用されるため、長期的に見ると保険料の負担が軽くなります。また、住宅ローン減税や自治体の補助金対象になるケースも増えており、初期費用の一部をカバーできることも。さらに将来、売却や相続を考える場合でも「耐震等級3」という性能証明が付いた住宅は評価されやすく、資産価値の維持にもつながります。つまり、耐震等級3は「地震への安心」だけでなく、「経済的な安心」や「将来の資産価値」も同時に得られる選択肢です。単に目先の建築コストだけでなく、トータルで考えた時に“安心”を最大化できるのが耐震等級3の大きな魅力といえるでしょう。 6. まとめ ~これから家を建てる人・選ぶ人へのアドバイス~地震大国・日本に住む私たちにとって、住宅の「耐震性」は“命を守る最重要テーマ”です。過去の大地震では、わずかな耐震性能の差が被害の大きさを左右してきました。法律で定められた基準(耐震等級1)は最低限の安心しか保証しません。これからの家づくりでは、家族の命や資産を守るためにも「どこまで安心を求めるか」をじっくり考えることが大切です。耐震等級3は確かにコストアップにはなりますが、地震リスクの高い日本で安心して暮らすためには、その価値は計り知れません。加えて、保険や減税、将来の資産価値という経済的メリットも得られます。「今だけ」ではなく「これから何十年も住み続ける家」を選ぶ視点で、ぜひ耐震性能にこだわってください。大切なのは“家族にとっての本当の安心”をどこまで求めるか――家づくりの最初の段階から、しっかりと意識しておきましょう。 7. 【PR】池田建設では全棟“耐震等級3”を標準仕様。過去に倒壊0件の実績池田建設では、お客様の安心・安全を最優先に、全ての新築住宅で“耐震等級3”を標準仕様としています。これは消防署や警察署と同等の耐震基準で、万が一の大地震にも倒壊しにくい最高ランクの住宅性能です。実際に、これまで池田建設が手がけた住宅で「地震による倒壊は0件」。棟ごとに耐震性を最大限高める設計・施工を行っています。また、耐震等級3住宅は地震保険料の割引や各種補助金の対象にもなり、経済的なメリットも豊富。「家族で安心して暮らせる」「大きな地震でも不安がなかった」といったお客様の声も多数寄せられています。大切なご家族と住まいを守る“本当の安心”――ぜひ、池田建設の耐震等級3住宅をご体感ください。※各種、割引や補助金を受けるために必要な設計住宅性能評価書の発行は別途費用がかかります。詳細は店舗スタッフまでお問い合わせください。詳しくはこちら(池田建設公式サイト)
-
小上がり和室の魅力は?メリット・デメリットや施工例をご紹介
リビングに溶け込む小上がり和室。畳は体への負担が少なくリビングにいながらも寝転がれてしまうのが小上がり和室のいいところ。家族とのコミュニケーションもとれて、明るく楽しい空間を広げてくれます。この記事は小上がり和室の魅力とメリット・デメリットをご紹介していきます。1 小上がり和室とは?2 小上がり和室のメリットは?3 小上がり和室のデメリットは?4 小上がり和室を作る際のポイント5 小上がり和室を作る場合の費用6 おしゃれな小上がり和室の施工事例7 まとめ小上がり和室とは?引用:Panasonic プラン集小上がり和室は床を一段上げて部屋を設ける間取り方法です。主にリビングと隣接されることが多く、小上がりのところは腰を下ろすのにちょうどいい高さとなっています。一般的に和室は4.5〜8畳の広さですが、小上がり和室は3〜4.5畳くらいの小空間として設けることが多いです。小上がり和室は壁で仕切らずに配置することが可能で、間取りの方法も様々あります。 小上がり和室のメリットは?収納スペースを増やせる 小上がりのところを利用すれば収納スペースを作ることができます。リビングや和室で使う物をここに収納しておけば手軽に取り出すことも。小上がりの収納はレールをつけて引き出しを設置する構造。引き出しの化粧板にこだわればインテリアとしておしゃれな空間を演出することができます。 リビングのゴミが流れてこないフラットにつながる和室の場合は、リビングのホコリが流れてきてしまうことも。その点、小上がり和室は一段床が高くなっていますので、床に溜まるホコリが流れてくる心配はありません。 小上がりがベンチがわりに 小上がりのところがベンチがわりになりリビングにいる人と楽しくコミュニケーションをとることできます。リビングは椅子やソファーに座って過ごしますので、小上がりのところと同じ目線になり、コミュニケーションがとりやすくなっています。 メリハリのある空間になる 一段床を高くして部屋を設けてありますので、隣接するリビングから独立し、メリハリのある空間になります。同じ床レベルで部屋を配置すると空間がつながるため一体感が生まれますが、メリハリはなくなり、フローリングと畳の床材の違いから、見切り材などで仕切りをつける必要があり、一体感としては中途半端な印象がでてしまいます。それに代わり小上がりは独立した印象はありますが、空間に溶け込みやすい間取りになっています。 リビングにいながらも寝転んでゆったりできる 小上がり和室は畳が敷かれていますので、リビングにいながらも寝転がってゆったりできる憩いの場として重宝できます。畳のちょうどいい柔らかさと、い草の香りが気分を癒してくれるでしょう。フローリングだと寝転がるには硬いですので体を痛めてしまいますが、ちょっとしたお昼寝に小上がり和室があると便利です。 小上がり和室のデメリットは?バリアフリーは損なわれる 床が一段高くなりますので、バリアフリーにはなりません。段差が高いので、足をつまずかせることは起こりにくいですが、段差が高いため転倒の恐れはあります。高齢の方や子供のいるご家庭は使い方に注意が必要です。また、ハイハイや歩き始めの乳幼児のいるご家庭も目を離さないようにしましょう。 掃除ロボットを移動させなければいけない 自動で掃除してくれる掃除ロボットはフラットなところの移動のみなので、一段高くなっている小上がり和室を掃除させたい時は自分で移動させなければいけなくなり手間がかかります。掃除ロボットをそのまま放置して自動で掃除してもらいたい場合は、小上がり和室は向いていません。 リビングが狭く見えてしまうこともリビングと和室が独立し、部屋の広さがはっきりと区別されるためリビングが狭いと窮屈な印象を持つかもしれません。また、小上がり和室の広さの分だけリビングは狭くなりますので、家具配置が限られてきます。大きいソファーやテーブル、テレビなどは、リビングの広さに適した大きさを選ぶ必要があり、リビングが狭くなるほど大きいサイズのものは配置しづらくなります。 小上がり和室を作る際のポイント小上がり和室の広さ 部屋をどう使いたいか、用途などによって広さが変わってきますので、目的はしっかり決めておく必要があります。部屋の広さは4.5畳が最も人気です。その次に3畳、居室としても使える広さは6畳からになります。6畳にする場合は、仕切り壁や引き戸などを設置してある程度プライバシーを確保できる設計にしてあげるといいでしょう。 開けた和室にするか、閉じた和室にするか 間仕切りを設けるか、それとも間仕切りをなくして開放的にするかで部屋の印象は大きく変わります。ちょっとした家事スペースとして活用したい場合は、間仕切りのない部屋の方が使いやすいです。ただし、オープンになりますので、臭いや音が届いてしまうデメリットはあります。また、寝室として使いたい場合は音や光が入らないように壁や障子、襖、引き戸などで仕切ったほうがいいでしょう。 小上がりの高さ 小上がりの高さは30〜35cmがちょうどよく、これくらいだと目で見てはっきり段差があることがわかり、転んだときも手をつきやすいです。また、腰がけとして利用する場合もこのくらい高さがいいでしょう。段差が10cmほどだと却って足をつまずく危険があるため避けたほうがいいです。 天井の高さが低くなっていないか注意 小上がり和室を採用する場合は天井高に注意しましょう。床が小上がり分高くなるため、天井の高さもその分低くなります。現在では平均身長も高くなり、家の天井高もそれに合わせるようになって開放性が求められるようになりました。一般的に天井高は2m20cm〜2m40cmの高さになります。段差分天井が低くなることを考慮して設計することが大切です。 小上がり和室を作る場合の費用 小上がり和室の費用相場は3畳が15万円〜、4.5条が20万円〜になります。もし、収納をつける場合は15〜20万円くらいプラスになります。小上がり和室は造作の場合とメーカーが販売する既製品があります。どちらが安いかサイズにより変わってきますが、特注サイズとかではないかぎり既製品の方が安く済ませることができるでしょう。また、畳の種類でも費用は変わります。畳は「縁あり」と「縁無し」「琉球畳」「市松」などがあります。現在では耐久性が高く機能性を持った樹脂畳などもあります。座る時に足が楽な掘りゴタツも人気です。暖房を設置する場合は電気工事も必要になりますので注意しましょう。 おしゃれな小上がり和室の施工事例4帖半の収納付き小上がり和室現代的な縁なし畳の4帖半小上がり和室。畳は色違いのゴザを組み合わせています。リビングの味わい深いフローリングが和室のあたたかさをより一層きわだたせ、小上がり和室の横には小スペースの書斎を配置しています。収納スペースもしっかり配置して、ゆったりと時間をすごすことができる小上がり和室となっています。 収納もできる畳コーナー 引用:Panasonic 畳が丘Panasonic製の畳コーナー。こちらはユニットを自由に組み合わせることができ、手軽に小上がり和室を取り入れることができます。高さは38cmと立ち座りしやすく、車椅子からの移乗も自然にできる高さとなっています。畳の下と小上がりのところは収納となっていて、生活空間に影響を与えずに収納空間を広げることができます。 和紙に樹脂コーティングを施した畳の小上がり和室 引用:DAIKEN リビング収納にもなる”小上がり”。和紙の畳おもてが魅せる快適生活こちらはDAIKEN製の小上がり和室になります。ユニット型となっていて手軽に和室を配置することができます。もちろん小上がりのところは収納となっていて、しっかり収納スペースを確保。DAIKEN製の小上がり和室は『健やかおもて』という和紙に樹脂コーティングした畳を使用しています。撥水性に優れ、カビやダニが少なく、赤ちゃんやアレルギー体質の方に優しい畳となっています。 まとめ 小上がり和室は憩いの場となるおすすめの間取りです。空間としてもおしゃれに見せることができる魅力があります。リビングに隣接することが多く、家族とのコミュニケーションもとりやすくなりますので、家づくりをこれからされる方は、ぜひ検討してみてください。家づくりは情報収集することが大切です。いえとち本舗は無料で家づくりに役立つ資料を提供しておりますので、これから家を購入しようと考えている方はぜひご利用ください。資料請求はこちらからさらに会員登録をするとVIP会員様限定の間取り集や施工事例、最新の土地情報をお届けいたします。当社は一切押し売りを致しませんので安心してご登録ください。 会員登録はこちらから