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建物・家づくり
在来軸組工法とどこが違う?ピン工法の優れているポイントを解説!
日本は地震の多い国です。
その他にも毎年台風に見舞われるなど、家を建てるなら災害に強いことが求められます。
日本で多く建てられているのが在来軸組工法の木造住宅です。
ですが、在来工法は土台や柱、梁などを接合するために仕口やほぞを加工するため断面欠損があり接合部の強度に心配がありました。
こういった問題を解消できるのがドリフトピンを使用したピン工法です。
地震や災害に強い家を建てたいと考えている方は、ピン工法の採用をおすすめします。
では、ピン工法の特徴について今回の記事でご紹介していきたいと思います。
接合強度を上げるピン工法とは

ピン工法は見た目では在来軸組工法とよく似ていて見分けがつきにくいかもしれません。
構成も在来軸組工法と同じで、基礎、土台、柱、梁で構成されています。
では、在来軸組工法と何が違うかというと、ピン工法は建物の構造体を接合部するために用いる仕口やほぞを最小限に抑えて、ドリフトピンという専用金物を使用して接合する工法となっています。
ピン工法は、プレカット工場で柱や梁に専用の金物を取り付けて出荷し、現場に納品されます。
現場では柱などの部材を組み立ててピンを差込み接合するだけなので、現場作業を短縮することが可能です。
従来の在来軸組工法は仕口加工で断面欠損があるため、接合部の強度に不安がありましたが、仕口加工を少なくしドリフトピンを使用して接合することで、強度が上がり、狂いのでにくい家を建てることが可能になりました。
構造強度を必要とする3階建てにもピン工法を採用すれば十分な強度を確保することができます。
在来軸組工法とはどんな構造?
在来軸組工は、土台、柱、梁で構成する日本の気候風土にあった伝統的な工法です。日本の住宅に多く普及しているのが在来軸組工法で、間取りなどの設計自由度が高く、比較的に費用も安価で家を建てることができます。
【在来軸組工法のメリット】
- 自由な設計が可能
- リフォーム時の間取り変更などが行いやすい
- 建築コストが比較的に安価
- メンテナンスがしやすい
- 普及している工法のため対応できる住宅会社が多い
【在来軸組工法のデメリット】
- 品質が施工技術に左右される
- 構造計算や壁量計算を行わないと強度に不安が残る
- 工期が長め
現在はプレカット工場により施工期間は短縮されていますが、工場内の施工や規格部材を使う2×4(ツーバイフォー)と比べると工事の期間はかかります。
昔の在来軸組工法と比べて今の在来軸組工法は、建築基準法に基づいて筋かいの取り付け箇所が増えて補強金物を取り付けるようになったので強度は向上しています。
ピン工法のメリット

ピン工法のメリットは下記のことがあります。
- 断面欠損が少なく耐震性に優れている
- ピン接合により建物の歪みが少なく品質が安定している
- ピンを差し込んで接合するので施工が容易
- 従来の金物では建築不能な設計も対応できる
- 防火性能や気密性能が向上
- 金物の露出が少ないため仕上げが美しい
- 在来軸組工法のメリットを引き継いでいる
ピン工法の最大のメリットは、断面欠損が少なくなり、従来の在来軸組工法よりも強度の高い家を建てられることです。
また、在来軸組工法の良いところを引き継いでいるというのもポイントになります。
建物の強度を上げながら、在来軸組工法のように自由な設計がピン工法はできます。
構造材は集成材の他に無垢材で施行することも可能です。
さらに構造体を見せる仕上げはピン工法の特徴である金物の露出が少ないことにより美しい仕上げが実現します。
プレカット工場の併用とピンを差し込む金物施工のため施工技術のばらつきも少なく品質も安定しています。
ピン工法のデメリット

ピン工法はメリットだけでなくデメリットもあるのでチェックしていきましょう。
- 使用する金物が高額
- 必要な木材の量が増え施工総額が高くなる
- プレカット工場の木材加工精度が求められる
- 金具の形状が規格化されていない
ピン工法の最大のデメリットはコストがかかることでしょう。
従来の在来軸組工法で使用する部材よりもピン工法の部材の方がコストは高くなります。
また、部材は金物を取り付けられた状態で輸送されるため、金物が邪魔して一度に運べる部材の量が限られてしまい輸送コストも高くなります。
その他には、金物の取り付け箇所は精度の高い木材加工が求められます。
高い技術を持っているプレカット工場が必要ですので、プレカットを依頼する会社が限定されます。
ピン工法で使用する金物も規格化されていないため、各住宅会社によって使用する金物のバラツキが統一されていないのもデメリットです。
木造住宅は必ず構造計算を行うこと

家を建てるときは必ず構造計算を行うことをおすすめします。
「この家は強度があります」や「地震に強い構造だから大丈夫」など言葉だけで家の強さを測ってはいけません。
きっちりと構造計算を行なって家の強度を数値化してもらうことが大事です。
建築基準法では木造住宅の構造計算について、500㎡以下または二階建て以下なら構造計算は義務付けされていません。
驚くかと思いますが、ほとんどの木造住宅は構造計算されていないというのが現状です。
地震の多い日本だからこそ、大きな地震に備えて、しっかりと構造計算された安全性の高い家を建てましょう。
家を建ててもらうときは構造計算の実施を標準化した住宅会社を選ぶことが大事です。
いえとち本舗が提供するイエテラスはすべてのプランで許容応力度計算を実施しています。
しっかりと安全性を確保した家を建てたい方は、ぜひチェックしてみてください。
家を建てるならピン工法を取り入れることがおすすめ

ピン工法はコストの面ではデメリットを感じてしまうかと思います。
しかし、住宅で一番大切なことは安心して暮らすことができる安全性が確保されていることです。
特に地震大国である日本なら、災害に強い家を建てることがとても大事になります。
ピン工法は在来軸組工法のように自由度の高い設計が行えて、耐震性にも優れた工法です。
高い建築費用を払ってもピン工法を採用するメリットは十分にあり、ぜひ取り入れてほしい工法になります。
まとめ
ピン工法は在来軸組工法で生じてしまう断面欠損を最小限に抑えて強度を向上させることができる工法です。私たちの暮らしを守るためにも、家の安全性は確保しなければいけません。
これから家を建てようと計画されている方は、在来軸組工法の設計の自由度を生かし、さらに強度をあげたピン工法を検討してみてはいかがでしょうか。
家づくりについてどうすればいいかわからないという方は、いえとち本舗で簡単に家づくりがわかる資料を無料で提供しています。
もし、ご興味がありましたらぜひご参考ください。
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完全分離型完全分離型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯が完全に独立した住宅ユニットを持つ住宅形態です。玄関を2ヵ所設置し二世帯が完全に分離して暮らす形態であり、「同居」というより「近居」に近く、お互いのプライバシーを完全に保てます。 左右に完全に独立した住宅ユニットを持つ「完全左右分離型」と、1階と2階に独立した住宅ユニットを持つ「上下完全分離型」があります。いずれのタイプも両世帯のプライバシーを完全に保てますが、建築費が高額になることがデメリットです。 また、両親が亡くなれば片側が空き家になるため、将来の利用方法も考えておく必要があります。完全分離型の二世帯住宅は、プライバシーを重視し、独立性を保つのに適しますが、建設費用や両世帯の距離感についての検討が重要です。 ローコストの二世帯住宅のメリット・デメリット ローコストの二世帯住宅は、一般的なローコスト住宅と二世帯住宅の特性を併せ持っており、特有のメリット・デメリットがあります。ローコストの二世帯住宅を建築する際は、メリット・デメリットを総合的に検討することが大切です。 ここでは、ローコストの二世帯住宅に特有のメリットとデメリットをご紹介します。 ローコストの二世帯住宅のメリットローコストの二世帯住宅は、一般的な二世帯住宅と比べると建設費用を低く抑えられることがメリットです。完全同居型だと1,000万円台で建築できる可能性があり、完全分離型でも工夫を施すと2,000~3,000万円程度で建てられる場合があります。 一般的な二世帯住宅と同様に、お互いのプライバシーを確保しながら、家族間の交流の機会が増えることもメリットです。建築費を低く抑えつつ、二世帯住宅ならではのメリットを享受したいファミリーにとって、ローコストの二世帯住宅は最適な選択肢でしょう。 ローコストの二世帯住宅のデメリットローコスト住宅は間取りや設備の自由度が低く、希望する間取りや設備が実現できない場合があります。間取りや設備の変更が可能であっても、オプション追加費がかかります。また、断熱性能が低い建材が使用される可能性もあり、信頼できるローコストメーカーに依頼することが大切です。 一般的な二世帯住宅と同じく、プライバシーの確保などの問題が発生する可能性があることもデメリットになります。完全分離型にするとお互いのプライバシーを確保できますが、建築費が割高になるため注意が必要です。 ローコストの二世帯住宅にかかる費用 一般的なローコスト住宅の相場は坪単価30~50万円程度であり、二世帯住宅の仕様にすると坪単価45~60万円前後が目安です。 完全同居型の二世帯住宅であれば一般的なローコスト住宅と間取りは変わらないため、30~40坪であれば900~2,000万円程度で建築できる可能性があります。 部分共用型は間取りにもよりますが、40~50坪であれば1,800~3,000万円程度が相場の目安になるでしょう。完全分離型は最も建築費が高く、55~65坪であれば2,500~4,000万円程度が相場の目安です。 これはあくまでも相場の目安であり、実際の建築費は要望を伝えたうえで見積もりを取得し、確認すると良いでしょう。 ローコストの二世帯住宅の間取りを決める際のポイント ローコストに限らず、二世帯住宅は間取りが最も重要であり、間取りによってプライバシーの確保や生活利便性が変わってきます。「親世帯と子世帯のプライバシーの確保」「動線の効率化」「将来の変化に対応」の3点が、間取りを決める際の重要なポイントです。 ここでは、ローコストの二世帯住宅の間取りを決める際の3つのポイントを解説します。 親世帯と子世帯のプライバシーの確保親世帯と子世帯のプライバシーの確保をどうするかによって間取りは決まります。完全同居型は一般的な一戸建て住宅と同じであるため、親世帯と子世帯のプライバシーの確保は難しいです。 部分共用型は親世帯と子世帯の関係性や距離感を保ちながら、お互いのプライバシーを確保できます。ただし、玄関やキッチンなどの共有スペースでは顔を合わせるため、プライバシーの確保には限界があります。 完全分離型であれば、完全なプライバシーの確保が可能です。家計も完全分離ができ、水道光熱費の負担の割合で揉めることもありません。完全同居型と部分共用型はトラブルを防ぐため、水道光熱費の負担の割合を事前に決めておきましょう。 動線の効率化二世帯住宅の間取りの設計において、動線の効率化は極めて重要なポイントです。室内のスムーズな移動と利便性を確保することで、快適かつ機能的な住環境が実現します。動線の効率化のポイントは、動線を可能な限り短くし、別の動線と交差しないようにすることです。 動線がスムーズであればキッチンから居室などへの移動が楽になり、より快適に暮らせます。また、完全同居型と部分共用型の二世帯住宅は親世帯と子世帯が共有スペースを使うことがあるため、動線を工夫することでお互いのプライバシーを尊重できます。 さらに間取りを決める際は、トイレや浴室など衛生面に関する「衛生動線」と、調理や洗濯など家事に関する「家事動線」が交差しないようにすることも、利便性や快適性、プライバシーの確保において重要です。 将来の変化に対応間取りを決める際は、子どもの成長や親の介護、死別など、将来の変化も考慮することが大切です。家族構成やニーズは時間とともに変化するため、適切な設計を行うことで、将来の変化に柔軟に対応できます。 子どもが成長するにつれて、個別の勉強部屋や寝室が必要になる場合があります。兄弟姉妹がいる家庭では、子どもの成長を意識して間取りを決めましょう。親の介護が予想される場合は、バリアフリー化や親の居室を1階に配置するなど、アクセスしやすい間取りの設計が重要です。 両親が高齢の場合は、親世帯の死別も考慮する必要があります。特に完全分離型は半分が空き家になるため、賃貸に供するなど将来の利用方法を念頭に間取りを設計しましょう。完全同居型と部分共用型は、部屋の再配置や用途の変更を容易に行えるようにしておくと、将来の変化に柔軟に対応できます。 ローコストの二世帯住宅を建てる際の注意点 ローコストの二世帯住宅を建てる際は、家族同士の話し合いなどが重要になってきます。複数の業者を比較することも大切です。ここでは、ローコストの二世帯住宅を建てる際に、特に注意しておくべき事項を解説します。 親子でしっかりと話し合うローコストの二世帯住宅を建てる際は、親子でしっかりと話し合うことが大切です。どのような生活環境を求めるのかや、どのようなプライバシーの確保が必要なのかなど、意見を交換することで理想の二世帯住宅が実現します。 完全同居型と部分共用型の二世帯住宅の設計においては、プライバシーの確保と共有スペースのバランスを考える必要があります。お互いのプライバシーを尊重できるようにするために設計やルールを話し合い、合意を形成しましょう。 二世帯住宅の建築にはコストがかかります。建築費の費用負担の割合を話し合って決めておくことが大切です。完全同居型と部分共用型は、水道光熱費の費用負担の割合も事前に決めておくと、将来のトラブルを防げます。 希望をリストアップし優先順位をつける親子双方の希望をすべて実現させると予算オーバーになる可能性があります。希望は優先順位づけが必要です。親子双方の希望事項をリストアップし、優先順位をつけることで、どの要素が最も重要かが明確になります。 これにより、設計や予算の決定において焦点を絞りやすくなり、限られた予算を最適に配分できるようになります。コスト効率の向上は希望を可能な限り実現するのに欠かせません。最も重要な要素に予算を割り当て、それに従って設計を調整できます。 希望事項をリストアップし、優先順位をつける際には、家族全員が参加しての話し合いを通じて合意を形成することが成功の鍵となります。間取りの設計プロセスがより円滑に進行し、家族全員が納得できる住環境を実現するのに役立つでしょう。 複数の業者を比較検討するローコストの二世帯住宅の施工実績が豊富な業者を3社程度選んで、相見積もりを取ることは重要です。複数の業者から見積もりを取得することで価格競争が生まれ、建築費をより低く抑えられる可能性が高まります。 ただし、価格だけで比較するのは禁物です。価格が安くても品質が悪ければ建ててから後悔するでしょう。各社のこだわりや強みを比較して、予算内で希望を実現可能で信頼できる業者を選ぶようにします。 業者の信頼性と品質を評価するには、過去の施工実績や、実際に利用したことのある人の口コミが参考になります。アフターフォローや保証条件も重要であり、保証期間なども比較検討しましょう。長期保証を採用していれば建ててからも安心です。 ローコストの二世帯住宅の間取りや施工事例 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