ブログ/コラム
Blog/Column
土地
位置指定道路とは?固定資産税の支払や注意点を解説

道路は建築基準法で定義が定められており、さまざまな道路が規定されています。しかし、見ただけでは道路がどの分類なのか、誰が所有しているかなどはわかりません。
知らないまま土地を購入してしまうと、維持管理の費用が発生したり、利用するのに使用料や承諾が必要になったりするケースもあります。この記事では「位置指定道路」とはなにか、仕組みと固定資産税についてお伝えしていきます。
位置指定道路とは?

「位置指定道路」は、私道の一つであり、特定行政庁から認定を受けた道路になります。建築基準法第42条により道路は幅員4m以上(特定行政庁が指定する区域では6m)のものと定義されており、建物を建てるには接道義務という規定に則した敷地であることが必要です。
接道義務とは、建築基準法第43条により定められており、「建築の敷地は道路に2m以上接しなければならない」と規定されています。例えば土地をいくつかの区画に分割して建物を建てる時、道路に接しないところは接道義務が果たされないため建物を建てることができません。
そのため建物を建てるために道路を敷地まで新設し、これを道路として認めてもらえるように特定行政庁から許可をもらった道路が「位置指定道路」となります。
位置指定道路の仕組みとは?

引用:横浜市道路位置指定申請のしおり
なぜ「位置指定道路」として認定を受ける必要があるのか疑問に思われるかもしれません。また、所有者も「位置指定道路」は一人とは限らないため、この道路が誰のものかというのも少々複雑なところ。ここでは「位置指定道路」の仕組みについてお伝えしていきます。
位置指定道路が作られる理由

引用:国土交通省 建築基準法制度概要集
新たに「位置指定道路」に認定しなければいけないケースとは接道義務によるものが大半です。一つの土地を分譲する場合、道路に接しているところは接道義務が果たされるので問題ありませんが、奥のところは道路がないため建物を建てることができません。このような問題を解消するために、奥の分譲した土地まで新たに道路を設けて特定行政庁に「位置指定道路」として認定を受け、建物が建てられる敷地にするのです。
位置指定道路の所有者と固定資産税
公道なら国が管理するため所有のことは考慮する必要はありませんが、私道となるとメンテナンスや固定資産税においては所有者が負担することになります。また、所有者は一人とは限らず複数人が所有していたり、道路に接する敷地が分割して所有していたりします。つまり道路の所有者は管理やメンテナンスの義務、固定資産税の負担を担うことになりますが、国税庁により公共用に使う道路(通り抜けができる道路など不特定多数の人が通行用で使える)場合は課税対象から外れ非課税になることがあります。
こういった負担を考慮すると、私道が引かれた土地の場合は誰が道路を所有しているか確認しておくことが大切です。また、一見私道に思われる道路でも自治体により公道に変更されていることがあるので、道路がどの種類になっているか知りたい場合は各自治体の役所で道路の形態を調べることができます。
トラブルに注意!私道通行・掘削に関する承諾書とは?

引用:東京都水道局
私道に接する敷地に建物を建てる場合、ガスや水道管が引き込まれているか、ということはとても重要です。もし、水道やガスが引き込まれていない場合、新たに配管を敷地にまで引き込ませる必要があります。配管を敷地まで引き込ませるには道路を掘削して配管類を埋設する工事が必要となるため、私道の場合は所有者の承諾がないと工事ができません。
もし、所有者が複数人いる場合は、全員から承諾が必要となるため、承諾を受けるために交渉し、相手に理解を求める必要があります。「私道通行・掘削に関する承諾書」とは、この水道管やガス配管の埋設工事、それに付随する工事を行うことを私道の所有者が承諾したと証明する書類になります。
この書類があることで私道での配管の埋設工事を行うことが可能になります。そのため、所有者から承諾が得られない場合はライフライン工事を進めることができないため注意しなければなりません。私道に接する土地を購入する際は所有権を持っているかが重要で、もし所有の持ち分がない場合は後々トラブルに発展する可能性があります。
私道の持ち分がない物件を購入する場合は売買契約を交わす前に売主や不動産会社に「私道通行・掘削に関する承諾書」を現在の私道の所有者からもらうことをおすすめします。
位置指定道路は廃止することは可能?
位置指定道路を廃止、または公道にするということは可能ではあります。しかし、かなりハードルが高いとされています。位置指定道路は所有者がいるため私道ではありますが、その用途は公共の責任を負いますので、通行できることも容認しなければいけません。ですから、いくら所有者であっても自由に位置指定道路を廃止するということはできません。また、建築基準法により接道義務が定められていますので、位置指定道路を廃止してしまったら、そこに接する建物はみんな接道義務違反になってしまいます。
位置指定道路を寄付する条件も厳しい
廃止の他に位置指定道路を国や地方公共団体に寄付するということも一つの方法ですが、これもハードルが高いです。条件には以下のことが挙げられます。- 幅員が4m(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域では6m)以上であること
- 公道に接続していること
- 側溝があること
- 公道として管理する必要があること
- 公費を投入するのに見合う道路であること
など
さらに上記の条件が満たされていたとしても公道として認められないケースもあります。公道として認めるということは、これから国や地方自治体が管理していくということになりますので、そのための維持費がかかり、予算に組み込んでいかなければいけません。公費(税金)として投入するのに見合う道路なのかというのが判断され、税収の少ない自治体の場合はさらに認められにくい可能性があります。
位置指定道路の廃止、または公道として認められるケースとしては、接道義務などの違反に影響してこないこと、その道路の関係者全員が同意、協力を得ていること、がありますが、それもなかなかレアなケースと言えるでしょう。
位置指定道路にまつわる注意ポイントは?

ここでは「位置指定道路」に接する土地を購入する際に注意しておかなければならないポイントをお伝えしていきます。ここでお伝えすることを知らずに購入してしまうと、後々トラブルに発展する可能性もありますので、ちゃんとポイントを押さえておきましょう。
誰が所有者しているか必ず確認すること
前述したように水道管やガス配管などのライフラインに関わる工事が必要な場合は所有者から許可をもらわなければ工事を行うことができません。また、複数人が所有している場合は全員から許可をもらわなければいけないため、工事までかなりの労力と時間が必要になります。私道での工事は近隣トラブルになり、交渉がもつれてしまうと訴訟問題にまで発展することもありますので、もし所有の持ち分がない道路に接した土地を購入する場合は、将来的に起こるかもしれないトラブルを想定しておき、それを理解した上で土地を購入することです。
土地の売買契約は重要事項説明があり、道路が位置指定道路であることや所有者について説明をする義務がありますので、誰が所有しているのかを必ず確認しておきましょう。
位置指定道路とその所有者を調べるには公図や登記記録を法務局で取り寄せて調べることができます。また、位置指定道路であるか役所の建築指導課でも確認を取ることができます。
自由に通行できるかどうか確認すること
位置指定道路はあくまで私道となるため、道路を利用するのに所有者が介入してくる可能性も否めません。位置指定道路の土地を購入する場合は、公道までの移動に障害が出ないように、購入前に通行の妨害がなかったか、通行料の請求がなかったか、など過去に問題が起きていないか確認しておきましょう。
なるべく購入する際は売主から無償で通行できる承諾書を所有者全員からもらっておくことをおすすめします。また、道路や上下水道の修繕費の分担が決まっていないことが多いですので、こちらも確認しておくことです。最初は関係が良好であっても、なにかしらのきっかけで関係が悪化してしまう可能性だってあります。
安心して通行できることや修繕費用の負担などの線引きはあらかじめ決めておかないと、トラブルになった時に妨害を受けて生活に支障をきたす恐れがありますので、リスクを避けるためにも自由に通行できるかなどの確認はしておきましょう。
埋設配管の維持管理費用が発生する場合もある
埋設されている配管に私設のものがある場合は、「位置指定道路」を所有するものが話し合って、その費用を捻出し負担することになります。そのため位置指定道路に埋設する配管が公設か私設か事前に確認しておくことが大事です。また、すでに老朽化していて購入してすぐに補修が必要になる可能性もあるため、どの程度古くなっているかも確認しておくことです。配管がどちらなのか確認するには、公設の場合は役所、私設の場合は売主に確認することができます。
また、直接売主とやり取りしていない場合は不動産会社に仲介してもらい配管がどちらなのか確認してもらいます。これまで補修をどれくらいしてきたかについては水道局など各事業所の台帳で確認することができますが、私設の場合は土地購入前だと所有者しか確認できないため売主(直接ではない場合は仲介を通して)に委任状をもらってから役所で確認となります。
まとめ
「位置指定道路」とは私道の一つで、特定行政庁から認定を受けた道路になります。私道に接する土地を購入する際は、所有者が誰なのかが重要なため、後々トラブルとならないように必ず確認をとることです。もしライフラインの工事が必要な場合は、道路を掘削し配管類の埋設工事を行わなければいけませんので、こういった事情も踏まえて道路の所有権を持っているか土地を購入する前にちゃんと確認をしておきましょう。家づくりは情報収集することが大切です。いえとち本舗は無料で家づくりに役立つ資料を提供しておりますので、これから家を購入しようと考えている方はぜひご利用ください。
資料請求はこちらから
さらに会員登録をするとVIP会員様限定の間取り集や施工事例、最新の土地情報をお届けいたします。当社は一切押し売りを致しませんので安心してご登録ください。
会員登録はこちらから
関連記事
-
駐車場幅の基準は?使いやすい駐車場に必要なスペースはどれくらい?
ほとんどの住宅には駐車スペースが配置されており、今ではどの家庭も車は欠かせないものとなっています。家づくりでは現在ないものを計画して作られていくものなので、体験することができず、使い勝手のイメージがつきにくいかもしれません。駐車場もその一つで、どのくらいの広さを確保したらいいか迷われる方も多くいます。この記事では駐車スペースの取り方や考え方などをご紹介していきます。1 駐車場幅はどれくらい必要?2 車種ごとの車の大きさと必要なスペース3 複数台・来客車用・車椅子の駐車場について4 敷地形状など制限がある場合 5 駐車場のタイプ別の特徴 6 まとめ駐車場幅はどれくらい必要? 現在では駐車スペースを設けるのは必須といえますが、ではどれくらいの広さをとればいいか疑問に思うところ。これくらいのスペースを確保しておけばいいだろう、といった曖昧な計画ではなく、しっかりと駐車する車種を考慮して駐車スペースを確保することが大切です。車は軽自動車や小型自動車、普通乗用車など種類があり、各車両の駐車に適した広さがあります。下記の表は国土交通省が示す駐車スペースの必要寸法です。 設計対象車両長さ(m)幅員(m)軽自動車3.62.0小型自動車5.02.3普通乗用車6.02.5引用:国土交通省:駐車場設計・施工指針について駐車場は接道する道路や歩行者、交通流などを考慮し、安全かつ円滑に出入りできることが求められます。上記で示した各車両の必要駐車寸法は車両寸法よりも余裕はありますが、通路スペースを考慮するとやや足りません。移動を考慮すると通行スペースは1mほど確保しておくことが望ましいです。 車種ごとの車の大きさと必要なスペース 車の種類によって大きさは異なり、所有する車に合わせて駐車スペースを設計する必要があります。下記の表は車種別の平均的な車両サイズになります。 車両種類全長(m)全幅(m)全高(m)面積(㎡)軽自動車3.41.481.655.032小型車4.51.681.57.56中型車4.81.71.58.16大型車5.21.871.59.724最低限の駐車スペースは前述した「国土交通省:駐車場設計・施工指針について」に記載する表の寸法になりますが、通行スペースを考慮すると不足感があり、約1mの幅を通行として計画し、車両全幅+2mの寸法で確保するといいでしょう。また、前面道路の幅員が4m以下だと直角駐車する場合、間口が足らず何度も車を切り返すことになります。幅の狭い道路に接する敷地に直角駐車する場合は間口を広めに取っておくと駐車にゆとりが生まれます。表に記載する寸法はあくまでも参考であるため、実際に設計する際は所有する車の寸法やドアの開閉寸法などに合わせて計画することが大切です。 複数台・来客車用・車椅子の駐車場について 駐車スペースを計画する際は、さまざまなシチュエーションを考慮しておくことが大切です。ここでは以下のシュチュエーションを対処する駐車スペースの考え方をお伝えします。【複数台の駐車】現在では車を複数台所有するご家庭も多くなっています。まず、駐車方法によって確保する広さが変わり、駐車方法には直角駐車と縦列駐車があります。直角駐車は間口を広げることで複数台駐車が可能になり、その際にドアの開閉寸法を考慮して通行するスペースを確保します。縦列駐車は間口と奥行きが取れない場合に有効で、奥行きは車の幅(出入りを考慮してゆとりのある広さを確保)のまま、駐車する台数分の間口を確保することで複数の車を駐車することができます。【来客者用の駐車】来客が多い場合は余分に駐車できるスペースが必要ですが、確保できる面積も限りがあります。来客者用の駐車場を設けることが難しい場合は、奥行きを大きめに取り、前のスペースを空けられるようにします。そうすることで来客時は車を後ろに下げて、空いた前のスペースを使って縦列駐車させることができます。【車椅子の移動を考慮した駐車】通行スペースの確保は円滑に車から出入りできることが重要となりますが、車椅子や介助が必要な方の場合は、さらにゆとりをもった通行スペースの確保が必要です。介助付き添いで車椅子の転換ができることを考慮して通行幅は1.4m以上を設け、ドア開閉時や移動時は塀や生垣などの障害物がないことが望ましいです。 敷地形状など制限がある場合 以下に駐車方法や特殊な敷地形状である旗竿地の駐車寸法についてお伝えしていきます。【車庫入れ式・前面道路の幅が狭い】駐車する際は直角駐車となり、前面道路の幅員が6m以上確保できているとゆとりが生まれて駐車がしやすいのですが、中には幅員4m以下の道路もあります。幅員が狭いと駐車する際の車の回転半径がきつくなり駐車がしにくかったり、何度も車を切り返したりすることになります。車は曲線を描いて駐車するため、スムーズに駐車ができるように駐車場の間口を広くとることをおすすめします。【幅寄せ式】幅寄せ式は並列駐車となり、前面道路が狭くても駐車スペースを取ることができるメリットがあります。ただし、幅寄せ式は車の全長の倍以上の間口が必要なため、駐車以外の余分な面積を取られることになります。しかし、間口を狭めてしまうと駐車がしにくくなり駐車スペースに納めるために車を何度も切り返さなければいけなくなるので、間口にゆとりを持たせておくことが無難です。【旗竿地に駐車場をつくる】旗竿地とは名前の通り旗竿の形状をした敷地で、旗部分が路地となり奥の広い敷地に建物が建ちます。旗竿地の駐車は路地のところに配置することになりますが、路地が狭いと通行路を取ることができなかったり、路地に合わせて車が制限されてしまったりします。しかし、うまく駐車できるスペースを確保できれば旗竿地のメリットを存分に受けることができますので、所有する車や建てる家などの条件が合えば旗竿地も候補となるでしょう。旗竿地に駐車スペースを設ける場合は駐車場と通行のスペースの境界にラインを引いて目印をつけると駐車がしやすくなり便利です。 駐車場のタイプ別の特徴 駐車場には様々な形態がありますので以下に種類と特徴をご紹介していきます。【オープンタイプ】カーポートなどの建築物を設けず駐車場のみで仕上げているのがオープンタイプです。カーポートの柱など駐車スペースに構造物がないため、衝突の心配がなく駐車することができます。施工も駐車場の土間のみですのでコストを抑えられ、メンテナンスも少なく済みます。ただし、屋根がないため車が風雨や紫外線にさらされ痛みやすいデメリットがあります。【カーポートタイプ】駐車スペースにカーポートを設けたのがカーポートタイプです。車が屋根で守られるため雨にさらされることがなく、太陽の紫外線からも守ってくれます。また、雨天時でも雨に濡れることなく、買い物で荷物がある場合でも出入りがしやすくなります。カーポートは柱の設置スペースが必要なため、駐車する際にこの柱が邪魔に感じてしまうことがあります。カーポートを設置する場合はある程度の間口を取っておくか、柱が後方にあるカーポートを選ぶなど駐車する時のことを考慮して計画しましょう。【ガレージタイプ】ガレージタイプは建物とは別に車庫を設けたタイプになります。敷地に建物が二つ建つようなものなので、建物とは別にガレージを設けることができる広い敷地が必要です。ガレージタイプの利点はガレージ内に車を駐車するため防犯性に優れ、整備やDIYなど趣味空間としても活用することができます。 まとめ現在では生活する上で車は欠かせないものとなっていますので、不便のない駐車スペースの確保が大切です。駐車スペースは敷地や道路、所有する車などの条件に合わせて適切な寸法で計画し、駐車できる広さを確保するだけでなく、車からの出入りや通行するスペースも考慮しておくことが大切です。家づくりは情報収集することが大切です。いえとち本舗は無料で家づくりに役立つ資料を提供しておりますので、これから家を購入しようと考えている方はぜひご利用ください。資料請求はこちらからさらに会員登録をするとVIP会員様限定の間取り集や施工事例、最新の土地情報をお届けいたします。当社は一切押し売りを致しませんので安心してご登録ください。会員登録はこちらから
-
土地の境界線トラブルを避けるには?境界線の調べ方や対策について
土地の境界は自分が所有する範囲を示すものですからしっかり把握しておきたいもの。しかし、土地の境界については曖昧になっていることも多く、思い込みで誤認してしまっていることもあります。土地の境界によるトラブルは隣地の方と関わってくるため身近に起きやすいトラブルとも いえます。こういったトラブルを避けるためにも境界線の調べ方や対策について知っておくことが大切ですので、ぜひこの記事で覚えておきましょう。1 土地の境界線が持つ意味とは?2 土地の境界線の種類3 土地の境界線に関するトラブル事例4 土地の境界線に関するトラブルを避けるには?5 まとめ 土地の境界線が持つ意味とは? 土地は基本的に地続きのためどこからどこまでが所有する範囲なのか記されている必要があります。もし、境界を示すものが何も記されていなければどこまでが自分のものなのかわかりませんので、こういった状態では隣地との境界は曖昧になり、近隣トラブルになってしまいます。多くは境界の誤認や曖昧な位置に作られた塀を境界線だと思い込んでいることが多く「ここは自分の土地」「いや、ここまではこっちの土地だ」みたいなことになってしまい、言ったもん勝ちの構図になってしまいます。こういったトラブルが起こらないように土地には所有範囲がわかるように境界線が引かれています。土地の境界は地積測量図や境界標で確かめることができます。ただし、境界標は地面に埋もれてしまっていることもありますので注意が必要です。境界線のトラブルは誤認であることが多いですので、ちゃんと書類などを確認し、自分が所有する範囲を把握しておくことが大切です。 土地の境界線の種類 境界線を示す境界標はいくつか種類があります。それぞれ境界を示す表示が線や点などのしるしがあって境界点を示しています。十字線の場合は中心の位置が境界点となり、矢印の場合は矢印を示す先端が境界点になります。それでは以下に境界標の種類を一つずつお伝えしていきます。 コンクリート杭 コンクリートで作られている直方体の形をした境界標です。一般的な境界標で最も多く使用されています。杭の最上面は十字線のしるしがあり、その中心線が境界点になります。コンクリートのため木のように腐ることがなく永続的に使用できます。 石杭 御影石(みかげいし)や花崗岩(かこうがん)などで作られた境界標で、石の堅牢さと美しさが特徴的です。頑丈であり腐る心配もありませんので、永続的に使用することが可能です。 プラスチック杭 プラスチックの柔軟な成型加工性から様々な形の境界標があります。軽量で簡単に設置することは可能ですが、コンクリート杭や石杭のような永続性はありません。 金属標・金属プレート 真鍮(しんちゅう)やステンレス、アルミなどさまざまな素材があり、プレート状になった境界標。設置にはアンカーピンを使うことで丈夫に設けることができます。コンクリート杭や石杭、プラスチック杭の場合は、杭が地面から立ち上がることになりますが、金属標・金属プレートは地面に埋め込まれフラットな見た目になります。 金属鋲(きんぞくびょう) 鋲(びょう)の形をした境界標です。名前の通り鋲の部分は尖っていて、側壁や土間コンクリートなどにドリルで穿孔(せんこう)し、金属鋲を打ち込んで固定します。 木杭(ぼっくい) 木製の境界標。サイズはさまざまありますが、木の特性からすぐに腐ってしまう欠点があります。また、地面から動きやすいということもあるため、長く設置しておくものではなく仮杭として用いるのが一般的です。 土地の境界線に関するトラブル事例 土地境界線のトラブルは近隣との関係に影響してきますので、なるべく穏便に問題が解決されることが望ましいです。ここでは境界線トラブルの事例についてお伝えしていきます。 塀の位置で境界線だと誤認している場合も 塀の位置を土地の境界と認識しているケースがありますが、これは必ずしも境界線に設置されているわけではないということに注意しておきましょう。後述しますが、塀の設置については境界線内にあるのか、中心線にあるのか、ということも関係し、塀の所有者なども絡んで複雑になることがあります。境界から越境しているというトラブルもありますので、境界標や地積測量図などでどこが境界になっているか正しく把握しておくことが大切です。 境界標が移動していた・なくなっていた境界標が動いてしまっているケース。または、配管工事や塀などの建築物の工事を行う際に一時的に移動し、それを正しく戻さなかった場合や戻し忘れてしまった場合、など元々記してあった境界標が変わってしまっている事例があります。その他にも人的な要因ではなく土砂崩れ、地震、洪水などの自然災害によって境界標が行方不明になってしまうこともあります。土地の境界が隣地の人と共通しているのならいいのですが、相続や所有者が変わった時に境界がずれていることでトラブルになってしまうこともありますので、トラブル回避のために正確な位置を把握しておいた方がいいでしょう。 土地の境界線に関するトラブルを避けるには? 境界に関わるトラブルはそのまま近隣関係の悪化に伴われてくるため、できるだけ穏便に問題を解決しておきたいものです。ここでは土地境界線でのトラブルを避ける方法についてお伝えしていきます。 土地の境界を確認する境界標が移動してしまっていたり、行方不明になってしまっていたりする場合は、正しい境界の位置を確認することが大切です。境界線がどこの位置となっているか確かめるには土地の境界を記す地積測量図や確定測量図などを確認するといいでしょう。地積測量図は法務局で調べることができますので、確定測量図がない場合に有効です。ただし、法的な効力があるかというと必ずしもそうではないので注意しましょう。昭和52年9月3日以前の地積測量図は現在の基準よりも精度が低いと看做されています。平成17年3月7日以降に作成された地積測量図の場合は確定測量図と同等の効力があることになっていますので、調べるときは必ず作成年月を確かめておきましょう。確定測量図は隣地所有者立ち会いのもとで土地境界を確定し、境界線と境界点について合意した測量図のことで、こちらも土地の境界を確認することが可能です。 境界から越境している 塀などの建築物が越境しているトラブルも多くあります。土地の所有権としては権利を侵害されているため、塀の移設や取り壊しを求めることは可能です。ただし、数センチほどの越境の場合は移設や取り壊しが認められないこともありますので注意が必要です。しかし、そのまま放置してしまえば越境している部分まで時効取得されてしまう可能性があるため、塀を所有する人に越境していることの確認を行い、将来的に塀を新設する際は境界線に合わせることを約束する文書を作成しておくことです。 確認できる書類がなく境界が不明な場合は専門家に相談 境界標や確定測量図があることが望ましいですが、残っていないケースも多くあるのが実情です。境界について誤認していることも多々あり、隣家とのトラブルになりかねませんので、不明点が多い場合は不動産会社や土地家屋調査士などの専門家に相談することをおすすめします。 まとめ 土地の境界線は地積測量図や境界標で確認することができます。土地の境界は曖昧になっていることも多く、塀などの建築物または樹木などが境界を越境してあることもあります。隣地とのトラブルにまで発展してしまうと近隣関係にも影響を与えてしまいますので、自分が所有する範囲はしっかり把握しておくようにしましょう。もし、トラブルに発展しそうになる場合や境界を示すものが紛失していて不明点が多い場合は、一人で悩み込まずに不動産会社や土地家屋調査士などの専門家に相談をしましょう。家づくりは情報収集することが大切です。いえとち本舗は無料で家づくりに役立つ資料を提供しておりますので、これから家を購入しようと考えている方はぜひご利用ください。資料請求はこちらからさらに会員登録をするとVIP会員様限定の間取り集や施工事例、最新の土地情報をお届けいたします。当社は一切押し売りを致しませんので安心してご登録ください。会員登録はこちらから
-
「その土地、大丈夫ですか?」知らないと危険な“地盤リスク”と家づくりの真実
1. 家づくりと地盤の関係1-1. なぜ地盤が重要なのか?1-2. 地盤が悪いと起こるリスクとは2. 山口県の地盤特性2-1. 地形による違い2-2. 宇部市のゆれやすさマップの活用3. 地盤調査の重要性と種類3-1. スウェーデン式サウンディング試験とは3-2. 調査結果が住宅に与える影響4. 地盤補強の工法と選び方4-1. 表層改良工法4-2. 柱状改良工法4-3. 鋼管杭工法4-4. 環境パイル工法5. 全国的な取り組みと実例5-1. 行政とハウスメーカーの連携6. まとめ:安心な暮らしは足元から 1. 家づくりと地盤の関係1-1. なぜ地盤が重要なのか?家を建てるというのは、多くの人にとって人生最大のプロジェクトの一つです。住宅の設計や内装に注目が集まりがちですが、建物の寿命や住まいの快適性を根本から支える「地盤」は見落とされがちな要素です。地盤がしっかりしていなければ、どれだけ立派な建物を建てても意味がありません。とくに自然災害の多い日本では、地震や豪雨などの影響を受けにくい安定した地盤を選ぶことが、家族の命と財産を守るうえで欠かせません。地盤は家づくりの基盤であり、その良し悪しは将来的な安心・安全に直結します。また、地盤が安定していれば、基礎工事の設計もシンプルになりやすく、コストパフォーマンスの面でも有利になることが多いのです。設計段階から地盤に目を向けることで、無理のない家づくりが実現できます。1-2. 地盤が悪いと起こるリスクとは地盤が軟弱な場所に住宅を建てた場合、不同沈下という現象が起こる可能性があります。これは家の一部が沈み、傾きが生じることで、ドアや窓が開かなくなったり、壁にひびが入ったりといったトラブルにつながります。また、地震の揺れが増幅される恐れもあり、倒壊リスクが高まるのです。さらに補修や補強には多額の費用が発生し、住環境の質が大きく低下します。最悪の場合、建て替えが必要になるケースもあるため、地盤に問題がないかを事前に把握し、必要に応じた対策を講じることが大切です。実際に不同沈下が原因で裁判沙汰になるケースもあり、引き渡し後のトラブルに発展するリスクも見過ごせません。こうしたリスクを未然に防ぐためにも、地盤に関する正しい知識と準備が不可欠なのです。 2. 山口県の地盤特性2-1. 地形による違い山口県は南側を瀬戸内海に面し、北側には日本海と連なる山地が広がるなど、地形が非常に多様な地域です。このため、地域ごとに地盤の状態が大きく異なります。海岸沿いや川沿いの低地では、軟弱地盤であるケースが多く、地震時には揺れが増幅されやすいという特徴があります。一方で、内陸部や丘陵地帯では比較的硬い地盤が多く見られ、建物の支持に適している場所も少なくありません。しかし、丘陵地などでは土砂災害のリスクも存在し、豪雨による地滑りや地盤の緩みも考慮しなければなりません。つまり、同じ県内であっても、地盤の特性や対策の必要性は大きく異なり、建築予定地の地盤状況を的確に把握することが非常に重要です。2-2. 宇部市のゆれやすさマップの活用宇部市では、地域の地震リスクを住民にわかりやすく伝えるために「ゆれやすさマップ」を公開しています。これは、地震が発生した際に各地域がどの程度揺れやすいかを色分けで示した地図で、自宅や建築予定地の安全性を判断するのに非常に役立ちます。例えば、赤やオレンジで示された地域は揺れやすく、地盤補強などの対策が必要になる可能性があります。一方で、青系の地域は比較的揺れにくく、建築の際もリスクが低いと判断されやすいのです。このマップを活用することで、事前に地盤に関するリスクを視覚的に把握でき、無駄な出費やトラブルを避けることが可能になります。地盤の選定は家づくりの第一歩。その判断材料として、ゆれやすさマップは非常に心強いツールとなります。 3. 地盤調査の重要性と種類3-1. スウェーデン式サウンディング試験とはスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)は、戸建住宅の地盤調査において広く採用されている代表的な方法です。先端にスクリューの付いたロッドを回転させながら地中に貫入させ、必要な荷重や回転数を測定することで、地盤の硬さや支持層の深さを推定します。この試験は比較的簡易でコストも抑えられるため、個人住宅の建設時に最適です。また、現場での作業時間も短く、迅速に結果が得られるというメリットがあります。SWS試験の結果は、地盤が建物の重さに耐えられるかどうかを判断する重要な指標となり、その後の基礎設計や地盤補強工事の有無にも直結します。住宅の安全性を確保するうえで、最初に行うべき基本的かつ重要なステップです。3-2. 調査結果が住宅に与える影響地盤調査の結果は、住宅の基礎設計だけでなく、全体の建築計画に大きな影響を与える重要な情報です。たとえば、軟弱地盤と診断された場合には、地盤補強工事が必要となり、工期や建築コストが増加することもあります。逆に、強固な地盤であれば、シンプルな基礎構造で済むため、予算に余裕が生まれる可能性もあります。また、調査結果は建築確認申請や住宅ローンの審査においても評価されることがあり、安全性や耐震性に対する証明資料としての役割も果たします。さらに、住宅性能表示制度の耐震等級に影響を及ぼすこともあり、住宅の資産価値を左右する要因にもなります。このように、地盤調査は単なる確認作業ではなく、住まいの質を根本から支える重要なファクターであると言えるでしょう。 4. 地盤補強の工法と選び方4-1. 表層改良工法表層改良工法は、比較的浅い軟弱地盤に対して有効な地盤補強の方法です。具体的には、地表からおおよそ2メートル程度の深さまでを掘削し、セメント系の固化材を地盤の土と混ぜ合わせて地盤を強化します。この工法は比較的コストが低く、施工期間も短いため、費用を抑えたい小規模住宅の建設に適しています。ただし、支持層が浅い場所でしか使用できないという制約があるため、すべての土地で使えるわけではありません。事前の地盤調査で支持層の深さを正確に把握することが、この工法の採否を判断するカギになります。また、既存の樹木や構造物との干渉も考慮する必要があるため、周辺環境との調和も重要な要素となります。4-2. 柱状改良工法柱状改良工法は、地中にドリルで掘削した孔にセメント系の固化材を注入し、柱状の支持体(ソイルセメントコラム)を形成することで地盤を強化する工法です。一般に支持層が2〜8メートル程度にある土地に適用され、戸建住宅の地盤補強としては最も広く用いられている方法のひとつです。地盤の安定性とコストのバランスが良く、柔軟に設計対応できるため、山口県内でも多くの施工実績があります。ただし、掘削時に大量の土が排出されるため、処理方法や周辺環境への影響も考慮する必要があります。また、柱状体が建物の荷重に均等に対応できるよう、配置設計も慎重に行う必要があります。経験豊富な専門業者と連携することで、より安全で効率的な施工が可能になります。4-3. 鋼管杭工法鋼管杭工法は、地盤の支持層が深く、通常の表層や柱状改良では対応しきれないケースで採用される補強方法です。鋼製のパイプ(鋼管)を専用の機械で地中に打ち込み、建物の荷重を安定した地層に直接伝える構造を作ります。この工法は、高い耐震性と長期的な安定性を誇り、特に三階建て住宅や重量鉄骨造の建築物、あるいは大きな地盤変動が予測される土地に適しています。施工精度が高く、構造設計における自由度も広がる一方で、費用は他の工法よりも高くなる傾向にあります。また、施工音や振動が大きいため、住宅地では近隣への配慮も必要です。安全性を最優先する場合や、資産価値を重視する住宅にとっては非常に有効な選択肢と言えるでしょう。4-4. 環境パイル工法環境パイル工法は、自然環境への影響を最小限に抑えつつ、高い支持力を確保できる次世代型の地盤補強技術です。鋼管杭やセメントを使用せず、天然砕石などを用いて杭状の支持体をつくることで、地中に残土を出さず、地下水汚染のリスクも低く抑えられます。特に住宅密集地や環境配慮型の開発に適しており、施工時の騒音や振動が少ない点も特徴です。いえとち本舗の施工物件においても採用されることが多く、地盤の状況や施主の要望に応じて最適な工法のひとつとして選定されています。環境配慮と構造安定性を両立したこの工法は、今後ますます注目が集まると予想されます。また、一般的な地盤補強工事にはおおよそ50〜100万円程度の費用がかかることもあります。工法によって価格帯は変動しますが、これらのコストは予算に大きく影響するため、事前に把握しておくことが重要です。 5. 全国的な取り組みと実例5-1. 行政とハウスメーカーの連携地盤の安全性確保に向けて、全国的に行政と民間企業の連携が進んでいます。たとえば国土交通省や各自治体では、盛土規制や宅地開発における地盤安全管理ガイドラインが策定されており、安全な家づくりを支える法制度が整備されています。また、大手ハウスメーカーや地場ビルダーにおいても、地盤調査や補強工事を設計段階から組み込む取り組みが進んでおり、耐震等級や基礎仕様への反映も一般的になっています。さらに、万が一の不同沈下に備えた「地盤保証制度」も広く普及しており、一定期間内に地盤由来のトラブルが起きた場合でも、修復費用をカバーできる仕組みが整っています。このように、地盤に関する安全対策は全国レベルで着実に進展しており、施主が安心して家づくりに臨める環境が整いつつあるのです。 6. まとめ:安心な暮らしは足元から地盤は目に見えない存在でありながら、住宅の安全性や寿命を根底から支える極めて重要な要素です。山口県のように地形が多様で、地盤リスクが地域ごとに大きく異なる土地では、建築前の地盤調査と適切な補強対策は欠かせません。表面的には良好に見える土地でも、実際に調査してみると軟弱地盤だったというケースは珍しくありません。だからこそ、「この土地は本当に大丈夫か?」という視点を持ち、プロの知見を活かした判断が求められるのです。適切な対応をすることで、不同沈下や災害時のリスクを最小限に抑え、家族が安心して暮らせる住まいを実現できます。家づくりは単なる建物づくりではなく、安心して未来を託せる場所づくり。その第一歩は、地盤という見えない土台を正しく理解し、向き合うことにあります。なお、いえとち本舗では地盤補強工事の費用を0円でご提供しております(※住宅建築をいえとち本舗でご依頼いただいた場合に限ります)。「地盤に不安があるけれど、補強費用が気になる…」という方にも、安心して家づくりを進めていただけるよう、コスト面でもしっかりとサポートいたします。※ただし、地盤補強の要否を判断するための地盤調査費用は別途発生しますので、あらかじめご了承ください。地盤に関するご不明点やご相談があれば、いつでもお気軽にいえとち本舗までお問い合わせください。