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一戸建ての光熱費はいくら?マンションよりも高い理由や節約方法を解説
これから一戸建てを購入予定の方や、すでに一戸建てに住んでいる方は、光熱費が気になるのではないでしょうか。一般的に一戸建てはマンションよりも光熱費が高めになる傾向があり、家計を節約するには適切な対策が必要です。
この記事では、一戸建ての光熱費の目安やマンションよりも高い理由、節約方法などを解説します。どのようにすれば一戸建ての光熱費を節約できるかがわかるようになるでしょう。
目次
1.光熱費とは?
光熱費とは、電気代やガス代、灯油代など、生活のために必要なエネルギーの利用料金を指します。会計上の勘定科目では、水道代を含めて水道光熱費と呼ばれるのが一般的です。ここでは、光熱費の算出方法や特徴を解説します。
1-1.光熱費の算出方法
電気代やガス代、水道代の請求書には難しい専門用語が記載されていますが、光熱費の計算方法は至って簡単です。光熱費は以下の計算式で算出できます。
光熱費 = 基本料金 + 使用料 + その他の料金
基本料金は、電気やガス、水道などのサービスを提供するための基本的な料金です。契約内容やサービス提供会社などによって異なり、使用量に関係なく発生します。使用料は1ヵ月間の使用量に基づく料金です。電気やガスの使用量が多いほど使用料が増えます。
その他の料金は、別のサービスの利用料や法律に基づいて徴収される料金です。再エネ発電賦課金などが該当し、請求書に明示されます。
電気代やガス代、水道代に暖房用の灯油代などを加えた金額が、1ヵ月間の光熱費(水道光熱費)になります。
1-2.光熱費は固定費に含まれる
光熱費は毎月支払う必要があり、流動費ではなく固定費に含まれます。使用量に応じて変動する部分があるため流動費としての側面も有しますが、使用しなくても毎月必ず支払う費用であるため固定費とみなすのが一般的です。
家計の節約は固定費の見直しが基本で、固定費の節約効果は長く続きます。これは、光熱費は生活に不可欠なエネルギーの利用料金であり、家計の基盤となる費用であるためです。省エネ対策をしたり、サービス提供会社や料金プランを見直したりすることで、家計の節約につながる可能性があります。
1-3.光熱費は地域や世帯人数によって異なる
光熱費は地域や世帯人数によって異なることが特徴です。北海道や東北、北陸地方などの豪雪地帯では冬場のエネルギー使用量が増加するため、他の地方と比較すると光熱費が高めになる傾向があります。
また、光熱費は世帯人数が増えるほど高くなり、一人暮らし世帯よりも4人家族世帯の方が光熱費は高額になります。これは世帯人数が増えるほど、広い生活スペースが必要になるためです。なお、建物の構造によっても光熱費は異なってきます。
2.一戸建ての方がマンションよりも光熱費が高くなる理由とは?
光熱費は建物の構造によっても異なり、一戸建てはマンションよりも光熱費が高くなる傾向があります。これは建物の専有面積や気密性・断熱性の違いによるものです。ここでは、一戸建ての方がマンションよりも光熱費が高くなる理由を解説します。
2-1.専有面積が広い
一戸建てはマンションやアパートと比べると専有面積が広く、エアコンなどの消費電力が大きくなる傾向があります。また、一戸建てはマンションやアパートよりも部屋数が多い傾向があり、部屋数が増えるほどエアコンや照明器具の設置数も増えるため、光熱費が高くなります。
2階建てや3階建ての戸建て住宅は、ワンフロアの集合住宅と比べると空調効率が落ちることも光熱費が高くなる理由の一つです。
2019年9月に日本生活協同組合連合会が実施した「電気・ガス料金調査」においても、一戸建ては集合住宅よりも使用量・料金ともに高いという結果になっています。
同調査によると、一戸建ての1ヵ月当たりの電気料金は平均8,546円で、集合住宅の6,477円と比べると2,000円以上高いです。
2-2.契約アンペア数が大きい
電気代は契約アンペア数によって基本料金が変わり、一般的に一戸建てはマンションよりも契約アンペアが大きくなる傾向があります。
一戸建てはマンションよりも電気使用量が大きくなる傾向があるため、マンションよりも高めのアンペア数での契約が必要です。アンペア数が低いと、一度に多くの電気を使用するとブレーカーが落ちてしまいます。
東京電力の場合、30アンペアの基本料金は885.72円/月、60アンペアの基本料金は1,771.44円/月です。
電気代は基本料金と使用料、その他の料金(燃料費調整と再エネ発電賦課金)を加えた金額になるため、基本料金が高くなると電気代も高くなります。
2-3.気密性・断熱性が低い
一戸建てはマンションと比べて壁や天井、床などの構造が複雑で、隙間ができやすい傾向があり、冷暖房の効率が落ちてしまいます。
また、一戸建ては外部との接点が多く、屋根や外壁は直射日光にさらされ、室内は外気温の影響を強く受けます。猛暑日などに室温を適正に保つにはエアコンをフル稼働しなければならず、電気代は高くなりがちです。
ただし、一戸建てでも高性能な断熱材を使用することで、高い気密性と断熱性を実現している住宅も増えています。気密性と断熱性を高めることで冷暖房の効率が良くなり、光熱費の節約につながります。
3.水道光熱費の平均額
家計を節約するには、水道光熱費の平均額を把握しておくことが大切です。ここでは、世帯人員別・地域別の水道光熱費の平均相場をご紹介します。なお、一戸建て・マンション別のデータはなく、あくまでも水道光熱費の平均額です。
3-1.世帯人員別の水道光熱費の平均額
総務省統計局のデータを基に、一般社団法人エネルギー情報センターが運営する新電力ネットが算定した世帯人数別の水道光熱費の平均額(電気代・ガス代・他の光熱・上下水道代)は以下のようになります。
世帯人数 |
1ヵ月あたりの水道光熱費の平均額 |
---|---|
単身 |
11,847円 |
2人家族 |
19,607円 |
3人家族 |
22,834円 |
4人家族 |
23,764円 |
5人家族 |
25,751円 |
6人家族以上 |
32,652円 |
上記のデータから、世帯人数が増えるほど水道光熱費の平均額も増えることがわかります。単身世帯と2人家族の差額は7,760円、2人家族と3人家族の差額は3,227円、3人世帯と4人世帯の差額は930円です。
単身世帯と2人家族では水道光熱費に大きな差がありますが、世帯の構成人員が2人以上になると、大きな増加は見られません。これは、電気代やガス代がかかるエアコンやキッチン、お風呂などを家族全員で共有することで、個々の使用量が分散されるためです。
ただし、家庭ごとに状況は異なり、省エネ対策や設備の違いによっても差が生じることに留意する必要があります。
3-2.地域別の水道光熱費の平均額
総務省統計局のデータを基に、新電力ネットが算定した地域別の水道光熱費の平均額(電気代・ガス代・他の光熱・上下水道代)は以下のようになります。
地域 |
1ヵ月あたりの水道光熱費の平均額 |
---|---|
北海道地方 |
23,465円 |
東北地方 |
22,404円 |
関東地方 |
18,091円 |
北陸地方 |
22,471円 |
東海地方 |
18,196円 |
近畿地方 |
17,765円 |
中国地方 |
17,845円 |
四国地方 |
19,409円 |
九州地方 |
17,135円 |
沖縄地方 |
16,750円 |
最も水道光熱費が高いのは北海道地方で、水道光熱費の平均額は23,465円です。2番目に高いのは北陸地方で22,471円、3番目は東北地方の22,404円となります。豪雪地帯になるほど水道光熱費が高くなることがわかります。
最も水道光熱費が安いのは沖縄地方で、水道光熱費の平均額は16,750円です。北海道地方との水道光熱費の差額は6,715円になります。沖縄地方は本土と比べると冬は暖かく、冬場のエネルギー消費量を低く抑えられるため、水道光熱費が低めになることがわかります。
3-3.2023年に電気代やガス代が値上がりしている理由
電気代やガス代は、新型コロナウイルス感染症パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻、円安などの影響を受け、2021年4月頃から値上がり傾向にあります。これは、原油や天然ガスなどの輸入価格が上昇し、電気代とガス代の原料費調整額が上昇したためです。
政府与党の公明党が実施した調査によると、東京ガスを使用している標準家庭のガス料金は2022年1月から2023年1月の1年間で約37%値上がりしています。
電気代は、2023年6月1日に大手電力会社7社は値上げを実施しましたが、経済産業省は「電気・ガス価格激変緩和対策」を実施しており、政府による「激変緩和措置」により値上げの影響は抑えられています。
激変緩和措置は2024年4月末まで延長されたものの、2024年5月からは激変緩和の幅を縮小する方針です。今後の電気代やガス代の値動きについては、原油やLNGなどの燃料価格や円相場の状況、国の政策などによって変わってきます。
4.一戸建ての光熱費を低く抑える方法
一戸建ての光熱費はマンションよりも高めになる傾向があり、電気代やガス代も値上がり傾向にあります。家計の負担を軽減するには、光熱費の節約が必要です。ここでは、一戸建ての光熱費を低く抑える方法を解説します。
4-1.冷暖房の効率を上げる
冷暖房の効率を上げると、光熱費の節約につながります。冷暖房の効率を上げるには、住宅の気密性と断熱性を高め、エネルギー効率の高い機器の使用が有効な方法です。
窓は建物の外部と内部を結ぶ接点であり、外気が入り込んだり室内の熱や冷気が逃げたりします。窓に断熱シートを貼ると断熱性が高まり、冷暖房の効率が上がります。遮光カーテンの使用や二重窓の導入、Low-Eガラス(エコガラス)の使用も気密性と断熱性を高めるのに有効です。
また、古いタイプのエアコンは省エネ性能が低いため、最新の機種に買い替えることも冷暖房の効率を上げることにつながります。フィルターの掃除や適切な温度設定、サーキュレーターの併用なども、冷暖房の効率を上げる方法の一つです。
4-2.電力会社やガス会社を乗り換える
電力会社やガス会社を乗り換えることで、光熱費を削減できる可能性があります。エネルギー市場は電力自由化によって市場が開放されており、数多くの企業が参入し、価格競争が行われています。
現在の電力やガスの契約内容と料金を確認し、他の会社が提供するプランと比較すると、より良い条件での契約が可能です。これにより、光熱費の節約につながります。賃貸の一戸建てであっても、電力会社を変える際には基本的に家主の許可は必要ありません。
なお、電力会社やガス会社を乗り換える際は、契約条件や違約金などの確認が大切です。しっかり確認していないと節電につながらなかったり、違約金を請求されたりすることがあります。
倒産や事業停止することもあるため、経営の安定面なども調査し、時間に余裕を持って入念に検討しましょう。
4-3.電気やガスの使用量を減らす
電気やガスの使用量を減らすことは、光熱費の節約に直結します。使用量を減らすには、電気のつけっぱなしはしないなど、日頃から節約を意識することが大切です。
お風呂の追い焚きの回数を減らしたり、電子レンジを使った調理を取り入れたりすることで電気代やガス代を節約できます。また、冷暖房の設定温度を適切に管理し、不要なときには電源を切るなどして、無駄なエネルギー使用を避けることが重要です。
照明をLEDに切り替えたり、洗濯機や乾燥機、冷蔵庫の使い方を見直したりするなど、節電の方法は数多くあります。なお、電気やガスの使用量を減らすことで、環境への負荷の軽減にもつながります。環境に配慮した生活を送るためにも、電気やガスの使用量を減らすことは重要なことです。
5.エネルギー消費量を抑えられる省エネ住宅
エネルギー消費量を抑えることは光熱費の節約につながります。「省エネ住宅」という言葉は社会に定着していますが、具体的にはどのような住宅なのかがわからない方も多いでしょう。ここでは、エネルギー消費量を抑えられる省エネ住宅(省エネルギー住宅)を解説します。
5-1.省エネ住宅とは?
省エネ住宅とは、一定の性能基準を満たした省エネ性能が高い住宅を指します。エネルギーの使用量を最小限に抑え、快適で健康的な住環境を提供するために設計されていることが特徴です。
家庭においては冷暖房がエネルギー消費の30%を占めており、省エネ住宅は冷暖房を効率化することでエネルギー消費量を抑えます。また、断熱性を高め日射遮蔽をすることで、冬は暖かく夏は涼しくなり、快適で健康的な住環境を実現します。
住宅のエネルギーコストを削減するだけでなく、地球環境に配慮しCO₂の排出削減につながることも省エネ住宅の特徴です。省エネ住宅にはZEH住宅やLCCM住宅、長期優良住宅などがあり、いずれもエネルギー消費量を低く抑えられます。
5-2.ZEH住宅
ZEH(ゼッチ)住宅とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、創エネ性能を備えた住宅です。エネルギーの自己生成と使用のバランスを取り、年間でゼロエネルギーの達成を目指します。年間のエネルギー消費量を0以下にできるため、光熱費の大幅な削減につながります。
ZEH住宅の特徴は、省エネだけではなく、エネルギーを創造する創エネ性能を備えていることです。ZEH住宅は太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを完備しており、建物自体でエネルギーを生成します。
また、高い断熱性と気密性を誇り、暑さと寒さを防いで快適に暮らせることも特徴です。断熱性と気密性を高めることで、冷暖房の効率が良くなり、エネルギー消費量を減らせます。
5-3.LCCM住宅
LCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)とは、建築・居住・解体までの全過程におけるCO₂の収支をマイナスにする住宅です。ZEH住宅と同様に年間のエネルギー消費量を0以下にするだけではなく、CO₂を削減するための厳しい基準が設けられています。
省エネと創エネに加えて、長寿命であることがLCCM住宅の特徴です。耐久性の高い建材や設備の使用で建物の寿命を延ばし、保守コストを低減させます。建物の寿命をできるだけ長くし、解体時のコストも考慮します。
政府が普及を推進している低炭素住宅の最終目標がLCCM住宅です。LCCM住宅はまだ普及途上にありますが、低炭素社会の実現に向けて、今後ますます注目されるでしょう。
5-4.長期優良住宅
長期優良住宅とは、一定の基準を満たした長期にわたって良好な状態で使用できる住宅です。75~90年程度の寿命があり、適切なメンテナンスを行うことで、親子孫の3代にわたって住み続けられます。
省エネ性能も優れており、ZEH住宅と同程度の厳しい基準を満たしていることも特徴です。高い断熱性と気密性で室内の温度を安定させ、エネルギー効率を向上させます。エネルギー効率の高い設備や機器も導入されており、光熱費の節約につながります。
長期優良住宅の認定を受けるには、国土交通省が定めた基準を満たすことが必要です。太陽光発電システムなどの創エネ設備の導入は要求されませんが、創エネ設備を導入することで、長期優良住宅の認定を受けやすくなる可能性があります。
6.光熱費が安い一戸建てを新築・購入・リフォームする際のポイント
一戸建ての光熱費を安くするには、新築・購入・リフォームをする際に省エネ性能を高めることを意識する必要があります。ここでは、光熱費が安い一戸建てを新築・購入・リフォームする際のポイントを解説します。
6-1.一戸建てを新築する場合
一戸建てを新築する際は、ZEH住宅やLCCM住宅、長期優良住宅などの省エネ住宅を建築することが光熱費を安くすることにつながります。省エネ住宅はエネルギー消費量を低く抑えられるため、光熱費を大幅に削減できる可能性があります。
省エネ住宅を建築する際は、基準を満たすと補助金・給付金制度の利用が可能です。補助金・給付金制度として、ZEH支援事業や子育てエコホーム支援事業などがあります。補助金・給付金制度を効果的に利用することで、一定の経済効果のメリットを受けることが可能です。
6-2.中古一戸建てを購入する場合
中古一戸建てを購入する場合、太陽光発電システムなどの省エネ・創エネ設備を完備している住宅を選ぶと光熱費を安くできます。なお、オール電化の中古一戸建てはガス代が不要になりますが、タイプが古いと電気代が高額になることがあるため注意が必要です。
省エネ住宅やZEH住宅にリフォームした住宅を選ぶことでも、光熱費を安くできます。ZEH住宅や長期優良住宅などの省エネ住宅は断熱性・気密性が高く、光熱費の削減につながります。
6-3.住んでいる一戸建てをリフォームする場合
一戸建てを省エネリフォームすることは、光熱費を削減する効果があります。省エネリフォームは、建物の断熱性能を向上させ、効率的な設備の導入などを通じてエネルギーの効率を改善することを指します。
省エネリフォームの費用相場は工事内容にもよりますが、100〜200万円程度が一般的です。省エネリフォームをする際は、補助金制度を利用すると工事費の一部が補助されます。補助金制度には先進的窓リノベ事業や既存住宅における断熱リフォーム支援事業などがあり、条件を満たすと利用できます。
7.まとめ:省エネ住宅や省エネリフォームで一戸建ての光熱費を削減しよう!
一戸建ての光熱費は世帯人数や地域、建物の省エネ性能などによって異なります。世帯人数が増えるほど光熱費は高くなり、北海道や東北など冬の寒さが厳しい地域は光熱費が高めになります。
一戸建てはマンションと比べると気密性や断熱性が低いことが光熱費が高くなる主な理由です。しかし、省エネ住宅は気密性や断熱性が高く、省エネ設備や創エネ設備の導入で、光熱費を大きく削減できます。
一戸建ての光熱費を節約したい方は、省エネ住宅の新築や購入、省エネリフォームがおすすめです。光熱費を大幅に削減できるでしょう。
監修者:宅地建物取引主任者 浮田 直樹
不動産会社勤務後、株式会社池田建設入社。いえとち本舗山口の店長を経て、セカンドブランドのi-stylehouse山口店店長に就任。後悔しない家づくりをモットーにお客様の家づくりの悩みを日々解決している。
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RC造とは?他の建物構造との違いやメリット・デメリットを紹介
建築構造には種類があり、特徴や優れているところ、欠点となっているところがそれぞれあります。見た目だけではどの構造がいいのか判断することは難しいですから、各構造について知っておきましょう。この記事では建物構造の種類や特徴についてお伝えしていきます。 RC造とその他建物構造について 日本の住宅の場合は木造が一般的ですが、その他にもいろいろな構造があり、造りがまったく異なりますので、家の購入を検討されている方はどんな違いがあるか知っておくことが大切です。それでは以下にて代表的な建物の構造をご紹介していきます。鉄筋コンクリート造(RC造/Reinforced Concrete) 鉄筋コンクリート造はReinforced Concreteを略してRC造とも呼ばれています。この構造は名前の通り鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造となっており、鉄筋の引張り力とコンクリートの圧縮力の両方の強度を有しています。この構造はお互いの優れている点と弱点となる点を補っており、鉄筋の熱に弱く錆びやすいところをコンクリートで覆うことで弱点を克服する構造となっております。また、コンクリートの場合は、圧縮力は優れますが、引っ張られる力には弱いため、その引っ張りに対する力を鉄筋が補っています。これにより圧縮力と引張り力の両方の力に対して強い建物を建てることができます。木造(W造/Wood) 木造は日本古来から用いられている構造であり、住宅の他にも神社仏閣などが木材で建てられています。柱や梁など主要な部材は木材が使われており、在来軸組工法や枠組壁工法(2×4、2×6)など同じ木造でも複数の工法があります。在来軸組工法は柱や梁などを組み上げる骨組み構造となっており、日本に多く採用される工法です。枠組壁工法はアメリカで開発され、2×4、2×6など規格化された部材を使い、主に耐力壁を造って建物を建てる工法です。鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造/Steel Reinforced Concrete) 鉄筋鉄骨コンクリート構造(SRC造)は、鉄筋を組んだ芯部に鉄骨を組み込み、外側にコンクリートを覆った構造で、鉄骨の粘り強さと鉄筋コンクリートの強度を合わせ持った非常に耐久性の高い建物を建てることができます。主に高層ビルやマンションなど高い建物に用いられ、鉄骨造よりも座屈(荷重による変形)に対して強く耐火性も高いです。軽量鉄骨造(S造/Steel) 軽量鉄骨造は厚さ6mm未満の鋼材を用いた構造のことをいいます。鉄骨造は木造のように柱や梁で構成する骨組み構造であり、工業製品のため品質が安定しています。また、引張り力と圧縮力に優れて耐震性も高く、3〜4階建ての住宅やアパート、店舗併用型住宅に採用される構造となっています。ハウスメーカーの中には軽量鉄骨造をメイン構造としているところもあります。重量鉄骨造(S造/Steel) 厚さ6mm以上の鋼材を使用した構造が重量鉄骨造です。軽量鉄骨造よりも高い建物を建てることができ、主に中層の集合住宅や店舗併用住宅、高層ビル、マンションなどに採用されます。重量鉄骨造も鉄骨造と同じラーメン構造(柱と梁で構成される構造体)で建てられるのが一般的で、軽量鉄骨造と比べて柱が太く、構成する鉄骨の本数を少なくすることができます。建物構造の特徴・メリット&デメリット 上記でお伝えした各構造には長所と短所があり、これから家を建てる計画をされている方はどんな構造を採用するか判断するために重要な要素となってきます。それでは以下にて各構造のメリット・デメリットをお伝えしていきます。鉄筋コンクリート造(RC造/Reinforced Concrete)メリットデメリット耐火性に優れる建築コストが高い耐久性・耐震性が高い結露が出やすい気密性に優れる熱伝導率が高いため断熱対策が必要遮音性に優れる気密性が高いため換気設備が必要設計の自由度が高い 木造(W造/Wood)メリットデメリット建築コストを抑えられる耐用年数が短い断熱性に優れるシロアリ・漏水・雨漏りの被害に弱い日本の気候にあっている火災に弱いバランス良く性能を高められる柱や壁の数量が多いメンテナンス性に優れる 鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造/Steel Reinforced Concrete)メリットデメリット耐火性に優れる建築コストがかかる耐震性・耐久性に優れる工期が長期化しやすい遮音性に優れる設計の自由度が高い 軽量鉄骨造(S造/Steel)メリットデメリット大開口が可能で設計の自由度が高い耐火性が低い工期が短い壁が薄いと防音・遮音性は期待できない品質が安定している結露により鉄骨に錆が発生する木造よりも耐久性・耐震性が高い 重量鉄骨造(S造/Steel)メリットデメリット大開口が可能で設計の自由度が高い軽量鉄骨よりも建築コストがかかる防音性が高い高層建築が可能耐久性・遮音性に優れる強固な地盤や基礎が必要品質が安定している 構造による防音性や耐火性、耐震性の比較 建築構造耐震性防音性・遮音性耐火性建築コストRC造○○○×木造△△△◎SRC造◎○◎×S造○△△○上記の表はあくまでも各構造の目安ですが、性能が期待できない部分については設計次第で基準よりも高めることができるという点は着目するべきところです。以下にはどんな構造についてどんな人におすすめなのかお伝えしていきます。建築コストを抑えたい方は木造がおすすめ 建築コストを重視するのなら断然に木造がおすすめです。木造は普及率も高く材料も他の構造よりも安価なため、費用を抑えつつ、備えたい性能はバランス良く設計することが可能です。定期的にメンテナンスを行えば建物も長く維持していくことができますので、費用を抑えて建物を建てたい方は木造がいいでしょう。耐震性・耐火性を求めるならRC造・SRC造がおすすめ 建物の強度を求めるのならRC造とSRC造がおすすめです。鉄筋コンクリートと鉄骨の強度はとても信頼が高く、安心して住み続けられる建物といえます。以前ではマンションのような高層建築の場合は揺れの心配がありましたが、技術の進歩により地震の揺れを吸収する免震構造が取り入れる建物も増えております。間口の広い設計にしたいならS造がおすすめ 柱や壁を少なくし、間口の広い設計にしたい場合はS造がおすすめです。主に壁は間仕切り壁となりますので、自由に壁を配置したり、廃したりすることができます。このため大開口を設けることができ、開放的な空間を作ることが可能となっています。自由な設計は他にもRC造やSRC造でも可能ですが、建築コストが高いという点はデメリットとなります。その点、軽量鉄骨造の場合は住宅メーカーも採用する構造となっており、リーズナブルな価格で取り入れることが可能となっています。ただし、間仕切り壁で仕切るため、壁厚がない場合は防音性や遮音性の対策が必要です。まとめ ここまで建物の構造についてご紹介してきました。構造はいくつか種類があり、どれも一長一短ありますので、自分が求める建物構造を選び、欠点を補っていける設計を行うのが重要です。これから家を建てる計画をされている方は今回お伝えした建物の構造のポイントを押さえて、自分に適した構造を選びましょう。家づくりは情報収集することが大切です。いえとち本舗は無料で家づくりに役立つ資料を提供しておりますので、これから家を購入しようと考えている方はぜひご利用ください。資料請求はこちらからさらに会員登録をするとVIP会員様限定の間取り集や施工事例、最新の土地情報をお届けいたします。当社は一切押し売りを致しませんので安心してご登録ください。会員登録はこちらから